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浦和“みそぎ勝ち” 横断幕問題の処分も動じず2発で広島撃破!

[ 2014年3月16日 05:30 ]

<広島・浦和>後半ロスタイム、ゴールを決めた浦和・FW原口は、エンブレムに手をあてて、サポーターに向け歓喜の咆哮

J1第3節 浦和2―0広島

(3月15日 Eスタ)
 クラブ史上最大の危機に直面している浦和が、出直しの1勝を果たした。敵地でJ1連覇中の広島と対戦し、2―0で今季2勝目を挙げた。前半42分にFW興梠慎三(27)が先制点を決め、後半ロスタイムにMF原口元気(22)がダメ押し弾。前節8日のホーム鳥栖戦で一部サポーターが差別的な横断幕を掲げ、次節23日のホーム清水戦が無観客試合となる厳罰を科されたクラブが再スタートを切った。
【試合結果 順位表】

 どうしても伝えたい思いがあった。後半ロスタイム、原口が鮮やかなドリブルから右足で2点目を決めた。ユニホーム左胸にあるクラブのエンブレムを右手で握りしめ、イエローカードをもらう寸前までゴール裏の応援席へ近寄った。クラブ生え抜きの男はレッズへの忠誠心を示し、サポーターの声援に感極まった。

 「自分が結果を出すことでネガティブなものをポジティブに変えられると思った。もう一回チーム、スタッフ、サポーターが一つにならないといけない。伝えたかったのは“もう一回やっていこうよ”ということ」

 誰よりも試合の意味を分かっていた。下部組織から成長し、今季からエースナンバー9を継承した。2月のファン感謝イベントで立候補して選手代表あいさつ。「新しい背番号9の人物像をつくっていきたい」と運命を受け入れた若きエースの今季初得点で、再スタートの1勝を確実にした。

 07年にACL制覇を成し遂げたビッグクラブが空中分解の危機に陥っていた。8日の鳥栖戦で一部サポーターが「JAPANESE ONLY」(日本人以外お断り)という差別的な横断幕を掲げ、監督責任を問われたクラブは23日の清水戦が無観客開催となる厳罰を受けた。サポーターには横断幕掲出禁止というクラブ独自の処分。一部の暴走が大きな影響を及ぼした。それでも選手は目前の試合を全力で戦うことが使命。試合前にはペトロヴィッチ監督が「我々が示す答えはピッチの上でサッカーを見せること」と訴え、選手も「僕たちはピッチ上で表現するだけ」と意思統一した。騒動をはねのけ「選手は誰一人としてサポーターのせいにしていない。プラスの方向にしていくためにも一致団結していきたい」と槙野。試合後は選手やコーチ陣、スタッフ全員が応援席に歩み寄ってあいさつした。異例のパフォーマンスで結束はより強固になった。

 前代未聞の処分を受けた事実は消せない。「これまでのことを反省して、新しいレッズとしてやっていきたい」と原口は言う。浦和に関わる全ての人に、重要な教訓が刻み込まれた1勝だった。

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2014年3月16日のニュース