×

ビラノバ采配が鍵を握る「バルサ時代の終焉」

[ 2013年5月3日 06:00 ]

<バルセロナ・バイエルンM>チャンスの作れない試合展開を嘆くバルセロナのビラノバ監督

欧州CL準決勝第2戦 バルセロナ0-3バイエルン・ミュンヘン

(5月1日)
 欧州CL準決勝でバルセロナは歴史的大敗を喫した。たとえメッシがこの試合に出場していたとしても、満身創痍(い)の状態ではより悪い結果を招いていたことだろう。この準決勝2戦の結果を受け、2月のミラン戦敗戦後にもささやかれた「バルサ時代の終焉(えん)」というフレーズがメディアのいたるところで“再燃”している。だが、この一戦だけで栄華を誇ったバルセロナが簡単に衰退していくともいえない。

 国内リーグでもライバル・Rマドリードの“内紛”に助けられたとはいえ、27勝4分け2敗の勝ち点85(5月2日現在)で優勝は目前だ。失点数は35と昨季の29点よりも多くはなっているが、総得点はすでに100点を超えているのだからシーズン通して見ればバルサの強さに疑問のつけようがない。今季主要3タイトルで欧州CLベスト4、スペイン国王杯ベスト4、国内リーグ優勝(仮定)という成績ならば十分に評価されていいシーズンだ。
 
 だが1日の敗戦はあまりにもひどかった。前日会見でビラノバ監督が「決してあきらめず戦う」と語った言葉はうそだったのか、この日のバルセロナは無力で無策だった。前任のグアルディオラ監督の“参謀”として多くのタイトルをもたらした手腕から、ファンの期待を受けバルセロナを指揮したビラノバ監督。だが彼の才覚はこの2戦で少しも見えなかった。

 第1戦では明らかに走れないメッシを使い続け、リードを奪われているにもかかわらず後半38分にビジャを投入するだけで何の変化も起こせなかった。第2戦でも特別なことはせず、ただ通常の布陣で臨み完膚なきまでに叩きのめされた。攻撃面ではメッシ不在のなか、頼みのイニエスタがハビ・マルティネスに封じられた。守備面では、第1戦で苦しめられたサイドからファーサイドに流れるバイエルンの高さを生かした浮き球クロスへの対策をしていなかった。結果ミュラーにあっさり2点目を献上し、戦意を完全に喪失した。

 ビラノバ監督は今季リーグの覇権奪回を熱望し見事なスタートダッシュを見せた。リーグ前半終了時、驚きの19戦18勝1分け無敗で折り返し。しかし、今思うとこの好成績が現在の“不振”の要因になってしまったともいえる。ビラノバ監督&ロウラ助監督は今季、ローテーションを活用しなかった。負傷者以外のレギュラーメンバーを常に使い続け選手は徐々に疲弊していった。
 
 そして、チームのキーマンであるシャビの状態が上向かなかった。負傷を抱えながらもだましだましプレーを続けてきた代償が、ここにきてチーム状態の下降に大きく響いている。結局プジョル、ブスケツ、マスチェラーノとシーズン終盤に向け離脱者は続出しメッシまで出場できない状態に追い込まれた。現状のバルサでは上り調子のバイエルンに敗れても仕方なかったのだ。

 ビラノバ監督はバルセロナと2014年まで契約しており来季も指揮をとる予定だ。この大敗を糧にCL制覇を成し遂げるためには、チームのコンディショニングが最大の課題といえる。選手補強も必要だが、それより指揮官の手腕こそが「バルサ時代の終焉説」を払しょくするキーとなるに違いない。

続きを表示

2013年5月3日のニュース