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ハーフナー 飛躍の12年へ!「運命」のオランダ挑戦

[ 2011年12月29日 06:00 ]

新天地でも得点量産だ。甲府駅前の武田信玄公の像前で海外挑戦への決意を語るハーフナー

 甲府からオランダ1部フィテッセへの移籍が決まった日本代表FWハーフナー・マイク(24)が28日、本紙の独占インタビューに応じた。自らも戸惑うほど大きな飛躍を遂げた11年を振り返り、念願だった海外移籍を決断するに至った胸中などを告白。大きな挑戦を前に、さらなる成長を力強く誓った。

 日本が誇る超大型ストライカーが海を渡る日が近づいてきている。ドイツのボルフスブルクなど複数の強豪クラブからオファーが届いていたが、新天地に選んだのは両親の母国でもあるオランダのフィテッセだった。

 「何でも一歩目が大事。ロマーリオや朴智星(パクチソン)もオランダからステップアップしていった。一番熱心に(獲得に)動いてくれたのがフィテッセ。年齢的に選手として凄く大事な時期だし、試合に出ないで成長を止めたくはない。ドイツからいい条件で話はあったけど、まずはスタメンで試合に出られる環境で一歩ずつ成長したいという気持ちが強かった」

 フィテッセとは不思議な縁で結ばれていた。

 「14歳の時に(フィテッセのホームスタジアム)ヘルレドームに行ったことを今でも覚えている。あの時に買ったユニホームは家のどこかを捜せばまだあるんじゃないかな。俺にはオランダ人の血が流れている。縁だし運命だと思う。オランダにいる親戚はもうシーズンチケットを買ったみたい(笑い)」

 今季リーグ戦で日本人最多の17得点をマーク。注目度は日に日に高まっていった。

 「一歩ずつと思っていたのに、一気に三歩ぐらいいっちゃった。得点王になれなかったのは悔しいし、メンタルの弱さも感じた。ただ、上位3チームから6試合で7点を奪えたのは自信になった。もし10得点以下だったら海外に移籍しようとは思ってなかったはず」

 9月に追加招集で憧れだった代表入りを果たし、ハーフナーのサッカー人生はさらに大きく動き始めた。

 「正直“今年中に合宿に呼んでもらえればいいかな”ぐらいの感覚だった。代表に呼ばれても使われるなんて考えてもいなかったのに、試合に出て点も決められた。代表に入ってみて、レベルの高さを痛感した。最初は“帰りたい”って思ったぐらい。所属チームで結果を残さないと呼ばれないし、代表でも結果を残さないと生き残れない」

 世界と戦えるストライカーになることを見据えて選んだ海外移籍。自らの未来についてはどこまでも貪欲だ。

 「ここまで成長してきたけど、まだまだ物足りないです。ゴール前で集中力を試されるのがFW。どんな状況でもGKの後ろのネットを揺らすことが自分の仕事だから。日本代表で戦う相手はフィジカルの強い海外の選手。駆け引きや体の使い方は一番成長させなければいけない部分」

 来年1月3日にチームに合流し、翌4日からはキプロスでのキャンプに参加する。同22日のホーム・NEC戦でオランダデビューする可能性が高い。

 「チームは得点不足に悩んでいる。シーズン途中から入っていくので、より結果を求められる。妻と娘は1、2カ月してからオランダに来る予定。まずは自分がオランダの環境に慣れないと」

 未知の世界への挑戦に、期待は膨らむばかり。オランダからさらに高みを目指すという決意に満ちている。

 「これからも壁にぶつかるだろうし、苦しむこともあるはず。でも乗り越えられる自信がある。慌てずに、マイペースで進んでいくだけです」

 ▽ハーフナー・マイク 1987年(昭62)5月20日、広島県生まれの24歳。06年横浜ユースからトップ昇格。J2鳥栖などを経て10年にJ2甲府に完全移籍。同年に得点王に輝きJ1昇格に貢献。9月のW杯アジア3次予選・北朝鮮戦で日本代表デビュー。93年に日本国籍取得。1メートル94、86キロ。

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