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温情先発実らず…高原13戦不発

[ 2008年4月21日 06:00 ]

<浦和・大宮>前半、大宮DFに囲まれボールを奪われる浦和・高原(中央)

 不振のエース高原が泥沼状態に陥った。J1第7節最終日の20日、浦和はホームで大宮と“さいたまダービー”を戦い、痛恨のスコアレスドロー。先発した日本代表候補のFW高原直泰(28)は、岡田武史監督(51)ら日本代表スタッフの見守る前でまたも不発に終わり、チームの連勝は4でストップ。公式戦ではフランクフルト時代の昨年10月21日のニュルンベルク戦以来、13戦連続で無得点となった。

【J1試合結果


 エースが実力の片りんを見せたのは、ほんの一瞬だった。前半39分。パスを受け、前を向いた高原は怒とうのドリブルとフェイントで相手選手2人をかわすと、左足を一閃(せん)。強烈なミドル弾はGKの両手をはじき飛ばした。だが今の高原を象徴するように、はじかれたボールは無情にもゴールバーのはるか上を越えていった。

 「少しは自分らしさが出たけど、まだまだという感じ」。試合後の高原は自ちょう気味に笑った。シュートの瞬間、多くのパスコースが見えたのも事実。だが、ストライカーの本能が強引に左足を振らせた。シュートの瞬間は思わず激怒したエンゲルス監督も、試合後は「試合中はパスの方がいいと思った。でもゴールが決まっていれば、全然文句ないしね」と話すにとどまった。

 指揮官の「温情」には応えられなかった。不振には目をつむっての先発起用。指揮官は「いつも先発だからメンタル面も安心してプレーしてほしい」という願いと温情を込めていた。本来は3トップだが、高原が試合の中で2トップでのプレーを選択すれば、それも容認。だが結果は「オレ自身、簡単なミスが多い。難しい試合にしてしまった」と高原。詰めかけた5万997人観衆は、ため息の連続だった。

 ゴールはあまりに遠い。日本代表を含め、公式戦ではフランクフルト時代の昨年10月21日ニュルンベルク戦以来13戦連続で無得点。21日からの日本代表候補合宿に向け、岡田監督以下、代表スタッフにアピールはできなかった。高原は「大丈夫」と言うものの、内側じん帯を痛め、テーピングで固められた右ひざも痛々しかった。

 後半14分には無念の途中交代。入れ替わるように投入され、左太腿痛から6戦ぶりに復帰の田中達は攻守に奔走。既に日本代表スタッフが15日の平成国際大との練習試合を極秘視察するなど、復活が待たれる田中達の切れある動きは、ゴールを忘れたエースの不振ぶりを際立たせた。さいたまダービーは昨年9月に続き、2戦連続無得点の屈辱。エースのゴール欠乏症が重くのしかかってきた。

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2008年4月21日のニュース