【桜花賞】“アパパネを知る男”奥村武師、ライジングで桜挑戦

[ 2017年4月7日 05:30 ]

ライジングリーズンと並んで歩く奥村武師(左)
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 初クラシックでも牝馬3冠アパパネを知る男は侮れない。開業4年目で関東リーディング首位(6日現在)を走る奥村武師(40)が、ライジングリーズンで「第77回桜花賞」獲りに挑戦。厩舎に重賞初Vをもたらした愛娘は、中間もカイバをモリモリ食べ好ムードだ。栗東からもショーウェイの斉藤崇史師(34)、カラクレナイの松下武士師(36)の2人がクラシックに初挑戦する。また、サロニカと抽選突破のカワキタエンカは“桜といえばディープインパクト産駒”の後押しを背に戴冠を狙う。枠順が確定した同レースの馬券は8日から前売りされる。

 まだ開業4年目。それでも奥村武師は牝馬クラシックの勝ち方を知っている。ライジングリーズンで挑む桜花賞は調教師としては初のクラシック。それでも師に萎縮するような様子は全くない。「やる前から尻尾を巻いて逃げるようなことはしたくない。勝つつもりでいく」。決戦を目前に言葉も熱を帯びだした。

 高い意識が結果を生んでいる。馬に良いと聞いた機器なら高額でも導入し、香港のトップ厩舎の技術を学ぶために海も渡る。「身の丈に合っていないかもしれないが、馬にはお金をかけたい。本だけでは“への突っ張り”にもならないし、直接違う世界を見るのが大切」と師。開業した14年に8勝、15、16年は倍増の16勝。今年は既に11勝をマークし、関東リーディングのトップに立っている。「調教師は1週間先、1年先を考えるイマジネーションの仕事。毎日を漫然とやっていればいい仕事はできない」

 助手時代は関東の名門・国枝厩舎に所属。07年の有馬記念を制したマツリダゴッホ、10年の牝馬3冠を制したアパパネなどを担当した。名牝と触れ合った経験から「桜花賞、オークスの前は牝馬が一番苦しい時期なんです」とクラシックを戦い抜く難しさを熟知。だが、リーズンについては「カイ食いがいい。これが物凄い強みなんです。昨年は夏負けしながらも食べていたし、おそらく環境が変わっても食べる」と胸を張る。初の長距離輸送でも大きな不安はなさそうだ。

 この日、射止めた枠は2番。「今の競馬は内が有利。偶数だし最高の枠じゃないですか」と歓迎し、「下が緩くてもくじけずに走る馬ですからね」と雨予報も気にしない。「(アパパネの時より)責任は増えました。でも懸命にやるだけなのは同じ。馬の調子は良いんだし、人間が力んだってしょうがない」。この男、単なる“クラシックルーキー”ではない。

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