【紫苑S】ビッシュ肥ゆる秋 重賞格上げレースで成長した姿見せる

[ 2016年9月7日 05:30 ]

ひと夏越えてたくましく成長したビッシュ

 土曜の中山メインは今年から重賞に格上げされた「第1回紫苑S」。3着までに与えられる秋華賞(10月16日、京都)の優先出走権を目指し、東西の素質馬たちが集結する。中でも注目を集めるのが、見せ場十分の走りでオークス3着に好走したビッシュ。夏を越えて400キロ前後の小さな馬体は一回り大きくなった。淀の大一番へ向け、弾みをつける準備はできている。

【紫苑S】

 鹿戸厩舎のエンブレムは雄々しい角を携えた鹿のマーク。角こそないが、厩舎期待の“牝鹿”が一回りたくましくなった姿で帰ってきた。ビッシュは前走・オークスで3着に好走。レース後はノーザンファーム天栄に放牧に出され、秋への英気を養ってきた。鹿戸師は「前走は頑張ったので少し疲れも見えた。放牧先で速い時計も出して、良い状態で帰ってきたよ」と明るいトーンだ。

 そのオークスは積極的な競馬で勝負を打った。道中は中団の前めをキープし、4角で進出を開始。残り150メートルで先頭に立った瞬間は戴冠も予感させた。最後は外から伸びてきたシンハライト、チェッキーノの末脚に屈したが、見せ場十分の好内容だった。ビッシュを担当する成田助手は「あれは理想的な競馬だった。自分から動くこともできていたし、この子の能力を見せることができた」と振り返った。

 小柄な牝馬でレース前はいつも400キロ前後の馬体重に注目が集まる。「よく体重のことは言われるんだけど、無駄な肉はないし、この馬に合った体重で来られたと思う」と同助手。それでも今の馬体には、春先からの成長を感じ取っている様子で「背が高くなって体もふっくらしてきた。現時点で10キロくらい増えているし、春先よりは楽に飲み食いをしてくれていますね」と笑顔を見せた。

 是が非でも手にしたいのは、3着までに与えられる秋華賞の優先出走権。鹿戸師は「能力はある程度あると思っているので、ここはチャンス。中山(500万)でも勝っているので期待したいね」と腕をまくる。馬名の由来はフランス語で牝鹿。軽やかなステップで、まずはトライアルレースを飛び越えたい。

 ▼紫苑S 秋華賞トライアルとして、00年に創設された牝馬限定オープン特別。今年からG3に格上げされ、従来は1、2着馬に与えられた秋華賞の優先出走権が、今年から1~3着までに拡大した。当初は芝1800メートルで施行されていたが、07年から秋華賞と同じ2000メートルに変更。紫苑Sを使って、秋華賞を制した馬は14年紫苑S2着のショウナンパンドラのみ。

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2016年9月7日のニュース