イナリワン死す…32歳 オグリ、クリークと“平成3強”89年年度代表馬

[ 2016年2月8日 05:30 ]

89年春の天皇賞を制したイナリワンと、ガッツポーズを見せる武豊

 89年天皇賞・春、宝塚記念、有馬記念を制し、同年JRA賞年度代表馬に輝いたイナリワン(牡、父ミルジョージ)が7日午後4時25分、けい養先のあるぷすペンション(北海道占冠村)で老衰で死んだ。32歳だった。

 同馬は公営・大井競馬の福永二三雄厩舎から86年12月にデビュー。東京王冠賞を含め8連勝を飾るなど、14戦9勝の実績を引っ提げて、5歳時の89年にJRA(美浦・鈴木清厩舎)に移籍。JRA3戦目となった4月天皇賞・春は4番人気ながら、5馬身差圧勝でG1初制覇。後に“平成の盾男”と呼ばれるデビュー3年目の鞍上・武豊にとって、春秋を通じて記念すべき天皇賞初制覇となった。宝塚記念でG1連勝。秋初戦の毎日王冠(2着)でオグリキャップと死闘を演じた後は低迷したが、年末の有馬記念で柴田政人のこん身のムチに応えて、G1・3勝目の復活V。“平成3強”と呼ばれたライバルのスーパークリーク(2着)、オグリキャップ(5着)を破った。

 翌90年宝塚記念4着を最後に種牡馬入り。重賞2着5回のシグナスヒーローなどを出したが、重賞勝ち馬はおらず04年に種牡馬引退。3年ほど前から乗用馬をけい養しているあるぷすペンションで悠々自適の余生を過ごしていた。競馬ブームを支えた偉大な名馬に合おうと、訪れるファンも多かったという。

 同所で世話をしてきた本田光司さん(44)は「1週間ほど前から起き上がるのにちょっと時間がかかるかなという感じだったのですが、きのう(6日)の朝から立てなくなりました。こちらに来てからも見学される方は多かったです。32歳ですし、天寿を全うしてくれたと思います」としみじみ話した。

 ◆イナリワン 父ミルジョージ 母テイトヤシマ(母の父ラークスパー)牡32歳 美浦・鈴木清厩舎所属 馬主・保手浜弘規氏 生産者・北海道門別町山本実儀 戦績25戦12勝(うち地方14戦9勝)総獲得賞金5億932万6000円(うち地方1億450万円)。

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