【戸田・ヤングダービー】篠崎兄弟 初のG1ドリーム戦競演

[ 2014年9月23日 05:30 ]

健闘を誓いガッツポーズの元志(右)と仁志の篠崎兄弟

 30歳未満の選手たちによって争われる新設プレミアムG1「第1回ヤングダービー」は23日、埼玉のボートレース戸田で開幕する。初日12Rドリーム戦には、篠崎元志(28=福岡)と篠崎仁志(26=同)の兄弟が同時参戦。これまで直接対決は何度もあったが、G1ドリーム戦では初対決となる。共に優勝を狙える存在。2人の母・篠崎多美子さん(57)も遠く福岡からエールを送った。

 篠崎兄弟が、壮大な夢にまた一歩近づいた。兄の元志は選考勝率トップで今シリーズに参戦。ドリーム戦1号艇を手中に収めた。弟の仁志も同5号艇を獲得。「兄が1位か2位で乗ってくるのは分かっていた。一緒に出たかったので勝率のことは意識していた」。共に記念ウイナーでイケメン選手としても人気。今や名実共に兄弟レーサーの代表格となった彼らが、今度はG1でドリーム戦そろい踏みを果たした。

 出世街道を順調に歩む2人。だが、彼らの人生は決して平たんではなかった。幼い頃に父・伸幸さんが病気で倒れ、家計を支えたのは母・多美子さん。苦労がなかったはずはない。「父が倒れたからボートレーサーを目指したわけではないが、長男だったから子供ながらに思うところはあったかも。専業主婦だった母が仕事を始めたり、家が裕福ではなかったこともある」と元志。篠崎兄弟の飽くなき向上心は、この頃から培われてきたのだろう。

 デビューしてからの道のりも全てが順風満帆ではない。特に、最近2年は天国と地獄を味わった。元志は12年のグランプリシリーズでSG初V。13年も6月までにG1・2V。グラチャンからメモリアルまで3連続優出とSG戦線でも活躍した。だが、メモリアル優勝戦でフライング。前半戦の貯金で自身2度目のグランプリ出場は果たしたが、今年のSG舞台からは姿を消した。

 一方の仁志は昨年9月、兄が優勝できなかった新鋭王座決定戦でG1初V。翌10月の福岡周年では、またも兄が達成できていない地元G1制覇を飾った。しかし、こちらにも落とし穴。続く宮島周年の優勝戦でFを切り、G1出場停止のペナルティーを科せられた。20日現在の賞金ランキングは元志47位、仁志79位。「グランプリの優勝戦に兄弟で乗る」。兄弟が共有するこの夢を今年中に達成するのは難しい状況だ。

 それでも数々の逆境を乗り越えてきた2人。夢の実現を来年以降に持ち越すつもりはない。弟が「今年はSGを獲ることを目指してきたのに現時点ではチャレンジCの出場圏内(賞金32位以内)も遠い。もう後がない」と語れば、兄も「グランプリを考えると優勝しないと間に合わない。やるしかない」。2人とも決して諦めてはいない。

 普段はレース観戦を嫌がる母・多美子さんも「2人そろってSGの優勝戦に乗った時は応援に行きたい」と話す。もはや兄弟だけではない。篠崎家全員の夢なのだ。自らの栄光のため、そして家族に感謝を伝えるため…。篠崎兄弟の復活劇が、このヤングダービーから始まる。

 ≪兄・元志 感触イマイチ≫兄の元志は2連対率45%の20号機を引いたが、前検の感触はいまひとつ。「走り出せば悪くないが行き足が不安定。乗っていて違和感があった。数字の感触はない」と厳しい表情。ただ、水面イメージは良好。11年8月のSG東日本復興支援競走で優出(4着)した実績もある。「走る機会は少ないが戸田は好き」。好相性の水面だけに、立て直してくる可能性は十分にある。

 ≪弟・仁志 鬼門突破だ≫エンジンの2連対率は兄に10%以上も離されたが、前検の手応えは弟・仁志に軍配が上がった。「直線は一緒くらいだがターン回りは好きな感じ。時間があるのでギアや本体を点検するかもしれないが、大きいことはしないと思う」。すでに臨戦態勢が整っている様子だ。しかし、仁志にとって戸田は鬼門。過去に優勝はおろか、優出したこともない。水面克服が今シリーズの鍵を握る。

 【デビュー戦VTR】

 ▼元志(05年5月7日、若松2R)6号艇で6コース発進。他艇を巻き込む事故を起こし、妨害失格となった。

 ▼仁志(07年11月10日。福岡1R)4号艇で5コース発進。コンマ05の好スタートを切ったが、転覆に終わった。

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2014年9月23日のニュース