藤沢和厩舎 “再来”2歳馬デビューへ 内田博も好感触

[ 2012年6月8日 06:00 ]

藤沢和厩舎期待の2歳シェーンメーア

 春の東京競馬ラストウイークに藤沢和厩舎が早くも話題の2歳牡馬をデビューさせる。米国産馬シェーンメーア(10日5R芝1800メートル、内田博騎乗)とフラムドグロワール(9日5R芝1400メートル、横山典騎乗)だ。競馬番組の改編に合わせ、名門厩舎も新シフトを敷いて対応。来春へ期待が高まるファン注目の逸材が早くもベールを脱ぐ。

 「シンボリクリスエスの再来だよ」。5月初旬の美浦トレセン入厩当初、藤沢和師が笑いながら口にした言葉はジョークとも思えない。シェーンメーア。ドイツ語で「美しい海」と名付けられた青鹿毛が雄大なフットワークを伸ばすと、調教スタンドはクギ付けになった。「適距離はクラシックディスタンス(2000~2400メートル)だな。この時季の2歳はまだ馬が若いから調教を加減しているが、体つきもフットワークもいい。高い素質を持っているのは間違いない」。同師は迫力あふれる500キロ超の馬体に頼もしげな視線を向けた。

 昨年の米国キーンランド・セプテンバーセール(1歳馬セリ)で外国人バイヤーと競り合いになり、47万5000ドル(約3800万円)の値が付いたアーチ産駒。シンボリクリスエスと同じ父系血統、同じ漆黒の大柄な馬体を持つ米国産馬…。同師はその馬っぷりをひと目で気に入り、オーナーサイド(AKB48の運営会社「AKS」窪田康志社長ら)に勧めた。入厩後は坂路、ポリトラック、Wコースとトレセンの施設をフル活用して仕上げてきた。

 藤沢和厩舎の2歳新馬と言えば、秋の東京デビューが定番。昨年勝ち上がった現3歳馬19頭のうち9頭がこの開催だ。シンボリクリスエスの初陣も10月末の東京だった。「でも、競馬番組が前倒しになった以上、従来のやり方に固執していては駄目。若い馬だけに無理に仕上げることはできないが、間に合う馬は6月にデビューさせる」(同師)の方針で5月初旬に5頭入厩。そのうち3頭は時期尚早と判断して牧場に戻している。

 シェーンメーアと共にデビューへGOサインが出されたのがフラムドグロワールだ。父はダイワメジャー、母はオークス馬シルクプリマドンナ。「ダイワメジャーの産駒は初めて手掛けるが、素早い動きで凄くスピードがある。1400メートルでデビューさせるが、もっと距離が短くてもいい」とスプリンター適性を見込んでいる。藤沢和軍団厳選2頭の初陣から目が離せない。

 ≪騎乗の内田博も好感触≫シェーンメーアの手綱を託された内田博も好感触をつかんでいる。「調教に何度か騎乗したが、とても乗りやすい。レースを重ねながら体ももっと絞れてくるはず。先々のある馬だから、他馬の後ろで折り合って抜け出す競馬を教えたい」と語る。また、昨年のキーンランド・セプテンバーセールでシェーンと共に30万ドル(約2400万円)で落札されたグラスワンダーのおいっ子、レッドレイヴン(父スマートストライク)も藤沢和厩舎から今夏デビュー予定だ。

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2012年6月8日のニュース