【天皇賞・春】仏の長距離砲ジェントゥー“道悪の鬼”

[ 2011年4月29日 06:00 ]

水分を含んだ京都の芝を確かめるように調整したジェントゥー

 「第143回天皇賞・春」獲りへ来日した仏G1・2勝馬ジェントゥー(セン7=リヨン)が28日、京都競馬場で最終追い切りを消化。雨上がりの芝コースを軽快なフットワークで駆け抜け、好仕上がりをアピールした。自慢のスタミナと末脚で日本G1制覇を狙う。なお同レースの出走馬18頭と枠順が確定、29日に金曜発売される。

 1頭だけのために開放された京都芝コース外回り。ソケ厩務員を背にジェントゥーが雨上がりの濡れた芝の感触を確かめながら、徐々にペースを上げていく。フランスから日本、千葉県白井の競馬学校から京都と輸送が続いているだけに、もう驚くほど速い時計を出すことはない。5F67秒2~3F38秒2~1F12秒5(馬なり)。前夜にフランスから駆けつけたリヨン師は納得の笑みを浮かべた。

 「他の馬がいなくて少し不安なのか、表情が暗いような気がしたけど追い切ってからはスッキリした、いい表情になっているね。けさは息を切らす感じの内容。状態は凄くいいよ」

 ゲート試験も受けて、追い切り前はゲート入りに手間取ったものの追い切り後に再度チャレンジしてパス。レース当日は先入れとなる。

 天皇賞・春が国際競走となって7年目。05年7着マカイビーディーヴァ以来、6年ぶり2頭目となる今回の外国馬はフランスNo・1の長距離砲だ。昨年9月のグラディアトゥール賞で重賞初制覇を飾ると、芝4000メートルのカドラン賞を差し切り、芝3100メートルのロイヤルオーク賞でG1・2連勝。生粋のステイヤーが一気に頭角を現した。休み明けの前走・ライトロイヤル賞も61キロを背負って2着と力を示している。

 あの3連勝が全て重馬場とあって間違いなく道悪は鬼。スタミナはたっぷりある。あとは硬い馬場にどう対応するか。リヨン師は「この馬は重い馬場が好きなだけで硬い芝でも問題ない。(近走コンビを組んだ)モッセやルメールに聞いても大丈夫って言ってくれたからね。みんなが想像しているほど心配していないよ」とみている。

 にこやかな表情で会見に臨んだトレーナーは最後も前向きに締めくくった。日曜は曇時々雨、降水確率70%の予報。馬場が渋るようならさらにチャンスは広がりそう。「中団で待機して差す競馬が得意の形」とリヨン師。盾獲りへのイメージは出来上がっている。

 ≪オーナーも来た≫ジェントゥーの追い切りにオーナーのセルジェ・トリピエール・モンダンサン氏(47)も駆けつけた。「去年G1を2つ勝ってこのレースを意識するようになりました。(大震災があって)日本がこういうときだからこそ遠征した方がいいんじゃないかと思ったんです。招待してもらったので、いい結果を出して恩返しできれば」と愛馬の好走を願っている。

 ◆アラン・リヨン 1948年5月18日、フランス生まれの62歳。70年に調教師免許を取得し、リヨンで開業。ジェントゥーで制した昨年のカドラン賞がリヨン師にとっても初のGI制覇だった。昨年のフランス調教師ランキングは34位。 

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