【競輪学校卒業記念】阿部、節目の“下克上”V

[ 2011年3月25日 06:00 ]

表彰を受ける1着の阿部力也(中央)、2着の久米康平(左)、3着の木村弘

 日本競輪学校第100回生徒(66人)卒業記念レースの決勝戦は24日、静岡・伊豆市の同校南400バンクで行われ、在校成績9位の阿部力也(23=宮城)が優勝した。第100回生は25日に卒業式、5月1日に選手登録後、開催が再開すれば7月に各地でプロデビューする。

 「まず両親に優勝の報告をしたい」。第100回の節目の卒業チャンプに輝いた東北高出身の阿部は開口一番こう語った。父・力さん(52)と母・純子さん(44)は仙台市泉区に居住。「家族は無事で、家も大丈夫」と連絡を受けたものの、不安の中で卒業記念レースを迎えていた。

 高校時代に競輪選手を意識して日大自転車部に進学。全日本アマチュア自転車競技大会のスプリントで連覇を飾った逸材は「脚質はスプリンターだけど地脚をつけよう」と高い目的意識を持って訓練に励んだ。そして決勝戦は桜井追走から木村のまくりに切り替えて追い込み結果を出した。

 「勝てると思ってなかったし(優勝の)実感がありません。22日(阿部の誕生日)に両親から電話があり、“仙台にどうやって帰るか”“今後はどこで生活するのか”“どこで練習するのか”とか話したけど…」。交通事情と仕事で応援にも来られなかった両親に“早く会いたい”思いだけがあふれていた。

 ◆阿部 力也(あべ・りきや)1988年(昭63)3月22日、宮城県仙台市生まれの23歳。日大中退。師匠は高浜裕一(39=69期)。在校成績は87戦27勝、2着10回。モットーは「前向き」。1メートル68、70キロ。血液型A。

 <在校1位の中山、悔しい4着>在校成績No・1の中山敬太郎(21=熊本)はまくり追い込みが伸びを欠き4着。「前々から組み立てる作戦だったけど最終ホームで前と詰まってしまった。自力を出したかった…」と悔しそうに振り返った。デビュー後の活躍が期待される熊本のホープは「まずはチャレンジレースを特昇(3場所連続完全V)することが目標。在校1位の名に恥じないよう頑張ります」と実戦での巻き返しを誓っていた。

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2011年3月25日のニュース