幸四郎「真田丸」で38年ぶり再び呂宋助左衛門「役者冥利」三谷氏の夢実現

[ 2016年7月17日 07:00 ]

「真田丸」に呂宋助左衛門役で出演する松本幸四郎(C)NHK

 歌舞伎俳優の松本幸四郎(73)がNHK大河ドラマ「真田丸」(日曜後8・00)の第28話(17日放送)に伝説的な貿易商人・呂宋(ルソン)助左衛門役で再び出演する。幸四郎が六代目市川染五郎時代の1978年に大河ドラマ「黄金の日日」で主演を務めた際に演じたキャラクター。38年ぶりに同じ役を演じるのは異例で、大きな話題を呼んでいる。よみがえった助左衛門への思い、そして脚本を手掛ける三谷幸喜氏(55)との「縁」について語った。

 幸四郎が演じる呂宋助左衛門(納屋助左衛門)は戦国時代、自治都市・堺と呂宋(ルソン=フィリピン)の交易を開いた商人。「黄金の日日」では自由で活気に満ちた堺に生まれ、南蛮交易を夢見た青年が大海に乗り出し、やがて豪商となって権力に立ち向かう姿が描かれた。

◆「黄金の日々」見ていた学生さんが大河脚本家に…「うれしい」
 38年ぶりに同役で出演することになったのは、三谷氏の「黄金の日日」に対する深い思い入れがあったからだという。幸四郎は「三谷さんが学生のころ『黄金の日々』を見てくださっていて、お会いするたびに『僕は黄金の日々を見て劇作家になろうと思った。ぜひ、助左衛門で出てください』と。『僕の夢ですから』と言われました。『黄金の日々』を見ていた学生さんが大河ドラマを書いていらっしゃる。こんなにうれしいことはありません」と喜びながら説明する。

 撮影中は「両肩に『黄金の日々』の出演者がいるみたいな感じでした。亡くなった方や、辞めちゃった方、スターになられた方とたくさんいらっしゃいましたが、その方たちを背負って出演させてもらった」と感慨深げ。「38年前の衣装はありませんでしたが、衣裳担当の熊谷さんだけは生き残っていらっしゃって、当時と同じようなものを再現してくれました」と笑いを誘い、楽しいエピソードも披露した。

◆脚本2ページの場面に「三谷さんの思い込められていた」
 「真田丸」での登場は、豊臣秀次(新納慎也)の娘の運命を託された真田信繁(堺雅人)が、命を救うため助左衛門のもとを訪れる…という場面。脚本では2ページほどだが「たったひと言、ワンアクションでも大事なものは見ている人の心に残ります。三谷さんは『真田丸』でそういう書き方をしている。出るシーンは少ないのですが、三谷さんの思いが込められているように思えた。セリフを口にしても分かったし、感無量でした。役者冥利というか、うれしいです」と感謝した。38年の時を経て様々な思いが凝縮された助左衛門から目が離せない。

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