天海祐希主演「偽装の夫婦」急展開に翻弄された視聴者の評価

[ 2015年12月15日 11:00 ]

「偽装の夫婦」の主演を務めた天海祐希(C)日本テレビ

 今クールで最も異彩を放っていたドラマといえば天海祐希主演の日本テレビ「偽装の夫婦」だろう。脚本は「女王の教室」「家政婦のミタ」など、視聴者をアッと驚かせることを得意とする遊川和彦氏。今年1月クールの柴咲コウ主演「○○妻」(日本テレビ)は、最終回で主人公が死んでしまうというバッドエンディングで賛否両論を巻き起こした。そして今回も驚きの展開の連続で視聴者は大いに翻弄されたようだ。

 初回から中盤にかけては、心を閉ざした人嫌いの主人公ヒロ(天海)が超治(沢村一樹)の影響を受け、周囲に溶け込んでいく様子が丁寧に描かれた。特にこのドラマの特徴であるテロップ表示されるヒロの心の声が、成長と共に自分の声になっていく過程は美しい流れだった。そして第8話、お互いの思いを知った2人が街路樹の下で別れを告げ、それぞれ道を歩き始める…というまるで最終回のようなシーンがあった。

 データニュース社(東京)のテレビ視聴アンケート「テレビウォッチャー」(対象3000人)によると、初回から第8話までの平均満足度は3・83(5段階評価)で、高満足度の基準3・7を超える高数値を記録。視聴者はそれまでの展開を「最終回でもいいくらい、きれいな終わり方だった」(女性、45歳)などと評価する声が多かった。

 しかし、その1年後が描かれた最終回前の第9話で、ヒロはかつて交際を申し込まれたシングルマザー・しおり(内田有紀)と、超治は以前より思いを寄せていた宅配業者の青年・保(工藤阿須加)と交際するという仰天の展開に。これに対し、視聴者は「急展開すぎる」(女性、34歳)「どこに結末が向かうのだろうか」(女性、27歳)「えー!!そういう展開って唖然」(女性、46歳)」など、意外すぎるストーリーに大きく動揺し、満足度は最低の3・59まで落ちてしまった。

 最終回は「最後はヒロと超治がハッピーエンドになり、よかった」(女性、42歳)「脚本が遊川さんなので不幸な終わり方にならないか心配だったが、一応ハッピーエンドでよかった」(女性、33歳)などと、落ち着くところに落ち着いて、満足度は最低だった前回から盛り返し、3・64で終わった。

 いずれにせよ、これだけハッピーエンドが望まれたということは展開に翻弄されつつも、応援したくなる愛すべきキャラクターに仕上げた脚本家の手腕によるものだろう。視聴者の期待を裏切らない程度にどう着地するか。ドラマの永遠の課題である。

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2015年12月15日のニュース