南米から“逆輸入”ロベルト・杉浦CDデビュー

[ 2010年5月5日 06:00 ]

19歳から南米でラテン歌手として活動し、天国と地獄を見たロベルト・杉浦。祖国・日本で「逆輸入デビュー」を果たす

 南米を拠点に活動してきた異色の純日本人ラテン歌手、ロベルト・杉浦(39)が6月23日、シングル「ダメウンベソ」(日本語でキスしての意味)で“逆輸入デビュー”を果たす。22歳で南米移住。歌手兼コメディアンとして一時は年収4000万円を稼ぐも幸運は長続きせず、現在1億円の借金を背負う。南米の芸能界で転落人生を歩んだ男が、祖国で逆転のジャパニーズ・ドリームを目指す。

 大学を卒業した93年、ラテン音楽にあこがれ単身アルゼンチンへ。ライブ出演などで歌唱力を磨き「ボレロとタンゴを本格的に歌う日本人」として認められていく。
 00年に、中南米スペイン語圏の人気テレビ番組「サバド・ヒガンテ」にレギュラー出演し大ブレーク。日本人ながら南米の歌を歌いこなし、スペイン語でギャグをペラペラ。関係者によると、日本で言えば黒人演歌歌手ジェロ(28)と、デーブ・スペクター(56)を足して2で割ったようなポジションで、01、02年には年間40万ドル(約4000万円)を稼いだ。
 しかし03年、人気に陰りが出たころマネジャーが金を持ち逃げし運気は大暴落。次第にテレビにもそっぽを向かれ、04年から2年間は収入ゼロに。05年には高級住宅を追われ、下町の安アパートで1個50セント(約50円)のカップめんをすする生活に転落。借金はいつしか1億円に達した。
 09年にはメキシコに渡り再起を期すが契約したレコード会社がリーマン・ショックで倒産。その知らせを日本で聞いたロベルトは、南米に渡る金もなく、路頭に迷うことになった。
 苦しまぎれに日本歌謡をラテン風に歌うコンサートを開いたところ、音楽関係者の目に留まりメジャー契約が実現。デビュー曲は南米時代のオリジナル曲に、交友のある阿木燿子氏が日本語詞をつけたもので、本場で認められた歌唱力と暑苦しいまでのボディーアクションで日本人離れした情熱的ムードをほとばしらせる。
 所属レコード会社によるとロベルトに支払われる印税はCD1枚につき約10円。1作で借金を完済しようとすれば1000万枚売る必要があるが「僕に失うものはない」と不退転の決意で一発逆転を狙う。

 ≪テリー伊藤も興味≫ロベルトの波瀾(はらん)万丈の生きざまはデビュー前から各方面で話題に。演出家のテリー伊藤(60)の目にも留まり、6日放送のニッポン放送「テリーとたい平 のってけラジオ」(後1・00)にゲスト出演が決まっている。テレビ東京では7日放送の「世界を変える100人の日本人!」(後8・00)で密着ドキュメントを放送する。

 ◆ロベルト・杉浦(ろべると・すぎうら)本名・杉浦隆文。1970年(昭45)10月2日、名古屋市生まれの39歳。父親がラテン音楽を好んで聴いていた影響で、大学卒業後に本場南米へ渡り歌手を志す。02年には現地テレビ番組でサッカー・アルゼンチン代表監督ディエゴ・マラドーナ氏(49)とも共演。

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2010年5月5日のニュース