見ないと損する幸四郎&染五郎“父子対決”

[ 2008年11月3日 06:00 ]

殺人鬼を演じる染五郎(左)と明智小五郎を演じる幸四郎が“対決”

 歌舞伎の松本幸四郎(66)、市川染五郎(35)父子が共演の「江戸宵闇妖鉤爪(えどのやみあやしのかぎづめ)」が3日、東京・三宅坂の国立劇場で初日の幕を開ける。

 江戸川乱歩の小説「人間豹(ひょう)」をベースにした新作歌舞伎。「10年前から歌舞伎にしようと考えていた」という染五郎の発案。自ら主人公の殺人鬼と、恋人を次々と殺される神谷芳之助の2役に挑戦。幸四郎はおなじみの明智小五郎を演じ「九代琴松」の名前で演出も兼ねる。時代を原作の昭和初期から幕末に移した。さらに、2人の対決の構図を寄り浮き彫りにしたことで、シュールな乱歩の世界がより分かりやすいエンターテインメントに仕上がった。
 本番を前に2日、同劇場で行われた公開通し稽古では、染五郎が鬼気迫る形相の人間豹と、二枚目の芳之助をうまく演じ分け、幸四郎は悪に敢然と立ち向かう名探偵ぶりを落ち着いたセリフさばきで表現。命を狙われる3人の美女に扮する市川春猿(37)も、それぞれに違う美しさ、か弱さをうまく表した。
 「この芝居を見ないと人生で1つ損をすることになります」と幸四郎は冗談まじりにPR。宙乗りあり派手な殺陣あり、そして、乱歩のおどろおどろしい世界も味わえる。歌舞伎を初めて見る人も、歌舞伎マニアも十分に満足する作品になった。上演は26日まで。

続きを表示

2008年11月3日のニュース