娘は“卒業”、ママは残念…「ラブandベリー」終了

[ 2008年10月2日 08:23 ]

 2005―06年に小学生の女の子を中心に大ブームを巻き起こしたセガの着せ替えゲーム「オシャレ魔女ラブandベリー」が、10月末にサービスを終える。一時のブームが去り、他社の類似ゲームの登場も重なって利益が縮小したことが撤退の要因。すでにゲームから「卒業」した娘とは違い、娘と一緒に熱中したママたちの方に「残念」などと惜しむ声が広がっている。

 ゲーム機はゲームセンターや百貨店などに設置されている。画面に登場する14歳の女の子「ラブ」や「ベリー」の装いを、どれだけセンス良く組み合わせられるかが勝負。かわいい帽子やドレスが描かれた「オシャレまほうカード」を使って、舞踏会やディスコなどの場面にふさわしい服装を決める。
 1回100円で1枚のカードが入手でき、高得点を狙うには豊富な種類を持っていることが重要だ。セガによると、今年8月までのカードの出荷数は、実に2億7300万枚。最盛期には、カード・ホルダーを抱えた子どもたちがゲームセンターの前に長蛇の列をつくり、このゲームに総額で数千円から数万円を投じた家庭も多い。
 スポンサーになったのは、女の子のママたち。娘がおしゃれに興味を覚えることを好感し、熱烈に支持したようだ。
 セガが6月にサービス終了を発表すると、ママたちが子育て日記として使っている楽天やヤフーのブログには、「寂しい」との書き込みが続々と現れた。「オシャレ魔女」のホームページにも、「娘が泣いて残念がった」などのメッセージが相次いで寄せられているという。
 こうしたママたちの未練は、どこから生じているのか。
 化粧品会社に勤める近藤聡子さん(40)は「子どもを産んでから、自分の幼いころを思い出すようになった」と話す。当時、流行していたのは「リカちゃん人形」。娘と一緒にゲームで遊ぶうちに、長らく忘れていた着せ替えの楽しさがよみがえったようだ。
 東京都板橋区の主婦(35)は「小・中学生のころ、シブがき隊や小泉今日子といったアイドルのカード集めが流行したことを思い出した」と懐かしむ。当時は厳しい親の目もあって自由に買えなかったカードを競って集めてみたい心理が働いたと自己分析している。
 アニメなど少女向け文化に詳しいライターの渡辺由美子さんは、最近の若い母親像について「ひと昔前と違って、ゲームへの抵抗感が少ない。家庭内で発言力が強まり、昔、自分が欲しかったものに投資している」と話している。

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2008年10月2日のニュース