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村田物足りない6連勝 「倒さないとダメ」ヤジに「すみません」

[ 2014年12月31日 05:30 ]

<村田諒太・ジェシー・ニックロウ>10R、顔面から血を流しながら右ストレートを打つ村田

73・4キロ契約10回戦 村田諒太 判定 ジェシー・ニックロウ

(12月30日 東京体育館)
 ロンドン五輪ミドル級金メダリストの村田諒太(28=帝拳)はプロ6戦目となった10回戦で3―0の判定勝ち。デビューから6連勝も、2試合続けてKOを逃した。

 勝利を告げられると、村田は表情を変えず拳を静かに上げた。ジャッジ2人がフルマークをつけ、判定3―0で勝利。2戦連続でKOを逃したが、デビューから6連勝とした。KOを期待したファンから「おまえは倒さないと駄目なんだよ。帰れ!」とやじ。厳しい声が飛ぶリング上で「倒せなくてすみません。プロとして倒せなかったのは凄く申し訳なく感じている」と反省を口にした。

 野獣の愛称とは裏腹だった守備重視の相手を崩しきれなかった。スタミナ切れした前戦を反省し「無理に狙わず」ペースを維持。ワンツー、ガードをえぐる右フック、左ボディーの強打に歓声が湧く。それでも“効かないよ”とばかりに挑発された。帝拳ジムの本田明彦会長も「右の打ち込みは甘かった」と指摘。6回のバッティングでプロで初めて左目の上下を2センチほど切り、計10針縫った。安全運転で勝利を収めた試合運びには成長もありながら、一方で物足りなさも残った。

 デビューからの連続KO勝利が途切れた前戦。「壁にぶつかっている」と見た本田氏は村田の練習環境を変えた。米国から日本に拠点を移し、外国人選手5人を呼び寄せた。かつて帝拳専属トレーナーだった田中繊大氏をメキシコから招へい。ミット打ちに定評のある同氏と「動きやすい足」と「ガードを上げて頭(顎)を引く」というスタイルを目指し、攻守の両面を磨いた。コンビネーション、体力、ペース配分など成長を実感し「去年の自分にないものを、今の自分は持っている」と自己分析した。

 次戦は来年3、4月に米国での開催を予定している。世界挑戦が可能なランク15位以内の強豪から相手は選ばれる。本田氏も「3、4試合やって来年の終わりが目標」と来年末に世界初挑戦する青写真を描く。ロンドン五輪金メダリストに求められるもの、それは世界の壁をも突き破る強烈な一撃だ。

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