権藤博氏 プロ野球界の名伯楽がイチローの才能を見抜いた瞬間「あんないい選手を2軍に置いて…」

[ 2023年11月20日 20:52 ]

権藤博氏(2019年撮影)
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 1998年に監督として横浜(現DeNA)を日本一に導き、4球団で投手コーチを歴任し、数々の投手を育てた「名伯楽」権藤博氏(84)が20日に更新されたYouTube「柳に風【下柳剛公式チャンネル】」にゲスト出演。後に日米通算4367安打を記録する大打者、イチロー氏(現シアトルマリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)を初めて見た時の貴重なエピソードを明かした。

 チャンネルのホストを務める元プロ野球選手の下柳剛氏とは、権藤氏がダイエー投手コーチを務めた(1991~93年)時以来の師弟関係。当時の話の流れで、権藤氏は「イチローは1年目(92年)から凄かった」と回想した。

 ある公式戦で対戦した時のこと。高卒1年目のイチロー(当時は登録名が鈴木)が打席に立った。「オレ、高校生(高卒1年目)が打席に立つと、坊やには真っすぐって、(捕手の)吉永に言っていた」。並の新人なら簡単に凡退するところ、イチローはファウルで粘り、なかなか打ち取れない。そこで権藤氏は変化球を交えるように指示を出したものの、「普通、ちょっと曲げたら、クルっと(バットが)回るんだけど、イチローはセカンドにグワーンと(強烈な)ライナーを打ったの。これはできる、と」

 あまりに受けたインパクトが凄かったのか、翌日の練習中、権藤氏は外野にいたイチローに声を掛けた。「鈴木君、君はできる。素晴らしい」。敵味方をこえて、プロ野球界の次代を担うスター候補にエールを送った。

 それなのに、その次の対戦では、背番号51は不在。「どこ行った、鈴木は?って聞いたら、2軍ですって。あんないい選手を2軍に置いてどうするんだって」。イチローは最初の2年間こそ1、2軍を行き来していたものの、仰木彬監督(2005年死去)が就任した94年に200安打を達成。やはり権藤氏は慧眼だった。

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