中日・柳 幻の「ノーノ―」でも笑顔 新球フォークさえ、天国のチームメイトの思いも背負った

[ 2023年8月14日 06:15 ]

セ・リーグ   中日2ー1広島 ( 2023年8月13日    バンテリンD )

<中・広>ノーヒットノーラン未遂ながら達成の感謝の言葉を述べ、ナインから突っ込まれる中日・柳(右)(撮影・椎名 航)
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 中日・柳裕也投手(29)が13日、広島戦で9回を無安打無失点の快投で、今季3度目のサヨナラ勝利に貢献した。0―0の延長10回のマウンドには上がらず、ノーヒットノーラン達成はならなかった。攻撃陣では岡林勇希外野手(21)が初回先頭で74年ぶりに球団記録を更新する26試合連続安打を放って幕を開けた一戦は、0―1の延長10回に石川昂と宇佐見の2者連続本塁打で劇的な逆転劇を飾った。

 快挙は幻と消えても、柳は飛びっきりの笑顔を浮かべた。サヨナラ弾の宇佐見とともに歓喜のウオーターシャワーを浴び、お立ち台で喜びを爆発させた。

 「みなさんの大声援のおかげでノーヒットノーラン達成できました。人生初のノーヒットノーラン。ノーヒットノーランできて最高です!…ふざけるのは、ここまでにします」

 集中は途切れない。先輩の勇姿があった。無安打のままマウンドを降板し、延長戦で快挙を逃したのは昨年5月6日の阪神戦で完全試合を逃した大野雄以来13人目。「7回には意識していましたが、大野さんが、あの試合で我慢強く投げる姿が頭にあったので、気持ちがブレることはなかった」と振り返った。

 新球フォークが効いた。「1カ月くらい前、立浪監督にお昼ご飯に誘ってもらって“フォークを投げたらどうだ?”と」。これまで決め球を欠き、四球から崩れるケースが目立っていた。高橋宏ら投手陣全員に感覚などを尋ね磨いた新球を武器に広島打線を封じた。

 9回のマウンドには、2年前の8月3日に27歳の若さで亡くなった同期入団の木下雄介さんの登場曲で上がった。今年6月に亡くなった「フォークの神様」杉下茂さん(享年97歳)は55年にノーヒットノーランを達成。過去にフォークの指導も受けた明大の大先輩だった。幻のノーヒッターが投じた121球には、さまざまな思いがこもっている。 (湯澤 涼)

 ○…柳(中)は9回まで無安打に抑えながら0―0で延長に入ったためノーヒットノーランはならなかった。延長戦で逃したのは昨年5月6日阪神戦で完全試合を逃した大野雄(中)以来史上13人目。そのうち、10人は延長回に初安打を浴びたが、柳のように無安打のまま降板し快挙を逸したのは、06年4月15日ソフトバンク戦の八木智哉(日=10回無安打)、14年5月31日巨人戦の金子千尋(オ=9回無安打)に次ぎ3人目で、セでは初となった。なお中日では58年10月9日広島戦の児玉泰と前記の昨年大野雄に次ぎ3人目の悔しい記録になったが、2年続けて同じチームの投手が延長戦でノーヒットノーランを逃すのは史上初だ。

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