鈴木啓示氏 加治屋の連投に森下の本塁打 首位攻防戦の緊張感が阪神選手の自信になる

[ 2023年7月31日 07:00 ]

セ・リーグ   阪神4-2広島 ( 2023年7月30日    甲子園 )

<神・広> 6回1死一塁、森下の2点本塁打に盛り上がる阪神ナイン (撮影・後藤 大輝)
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 【鈴木啓示 視点】勝負の大きなポイントとなった8回の継投策。2点差に迫られ、なおも1死二、三塁で菊池を迎え、右腕の加治屋を投入。続く秋山のところで左腕・島本とカードを切った。当然のように思えるが、投手を代えること自体にリスクが伴い、監督というものは“失敗したら”とマイナスイメージで考えてしまうもの。広島の新井監督は大盛、野間と俊足の代走2人でプレッシャーをかけ、ワンヒットで同点を想定。それだけに、岡田監督も決断に勇気がいったはずだ。

 加治屋は前日29日の広島戦で1点リードの8回に登板し、同点の足場をつくられていた。6日間で5試合目となる連投はギャンブルではあったが、“期待しているぞ”という指揮官のメッセージであり、それに応えたことで、加治屋も息を吹き返すきっかけになるだろう。

 森下の本塁打も大きかった。同点とされた直後の攻めで先頭の近本が右前打で出塁。次打者・中野は何でもできるはずの選手だが、結果的に見逃し三振で走者を進めることもできなかった。無得点だと嫌な流れになったはずで、大瀬良の外角を狙った真っすぐが中に入ってきた失投だが、仕留めたことは素直に評価すべき。カバーできる選手がいるチームは強くなり、強いチームはカバーし合えていく。

 経験上、首位攻防戦といった緊張感ある中で試合をすることは、選手の成長につながり財産になっていく。勝たなければいけない試合を勝つことで手応えを得る。過信ではなく、ますますの自信になるはずだ。(本紙評論家)

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