中畑清氏 DeNA監督時代はパに力負けも今はセと格差なし 交流戦12球団が2ゲーム差の中に

[ 2023年6月13日 05:30 ]

中畑清氏
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 【キヨシスタイル】こんなだんごレース見たことない。セ・パ交流戦。DeNAと巨人が7勝5敗で首位に並び、5勝7敗の西武が最下位。12球団が2ゲーム差の中にひしめいてるんだ。

 リーグで見ると、セ36勝パ33勝で1分け。雨天中止分も含めて残り38試合中37試合がセの持ちゲームだから、セが一昨年(セ49勝パ48勝11分け)、昨年(セ55勝パ53勝)に続いて3年連続で勝ち越す可能性が高いように思う。

 交流戦が始まった2005年から19年まで15年間でセが勝ち越したのは09年の1度だけ。私がDeNAの監督を務めた12年間からの4年間は、パのパワーピッチャーに手も足も出なかった。

 特に15年は29勝19敗で首位に立っていながら、交流戦3勝14敗1分けと大きく負け越して2位転落。交流戦から始まった連敗はリーグ戦に戻って12まで伸びた。

 そこから盛り返して前半戦を首位で折り返したけど、勝率5割。セは交流戦で44勝61敗3分けとこっぴどく負け越したから、貯金なしで首位に立てたんだ。球宴後は踏ん張れず、最終的には最下位に終わって辞任。やっぱり交流戦で力負けしたのが響いた。

 嫌というほど感じさせられたセ・パのパワー格差が今はなくなってきている。象徴的だったのが11日のロッテ―広島戦。羽月がさ。佐々木朗が投じた日本人投手最速タイの165キロをファウルし、最後は163キロを捉えて左前へ適時打を放ったんだ。

 我々の現役時代には夢の世界だった160キロ。150キロで大騒ぎしてたからね。一番速かったのは巨人の江川卓。対戦は手抜きの紅白戦しかできなかったけど、三塁、一塁の守備位置から見た速球はホップしてた。対戦した中では中日の小松辰雄、鈴木孝政が切れのいい球を投げてた。投球術で速く感じさせられたのが広島で抑えをやってた時代の江夏豊さんかな。

 大谷(エンゼルス)、藤浪(アスレチックス)、千賀(メッツ)に続いて佐々木朗、平良(西武)、杉山、甲斐野(ともにソフトバンク)、山崎颯(オリックス)とどんどん出てくる160キロ投手。それに合わせて打者の技術は確実に上がってきている。今や170キロを目指そうかという時代。つくづく思う。現役じゃなくてよかった。(スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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