張本勲氏 巨人・原監督の采配に「迷い」指摘 打順や勝ち継投に「信念と眼力」見せて

[ 2023年4月18日 05:30 ]

現在最下位の巨人。原監督(中央)はチームを浮上させられるか
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 どうした盟主――。巨人は16日の中日戦に敗れ、日本ハムと並んで両リーグ最速10敗。球団史上唯一の最下位だった75年以来48年ぶりの屈辱で、15試合目での10敗は18年と並び2リーグ制以降球団ワーストタイとなった。スポニチ本紙評論家の張本勲氏(82)がチーム状態を分析。苦しい現状打破へ、さまざまな角度から提言した。

 投打とも沈滞ムードが漂う巨人には大きな声で「喝!」と言いたい。私は原監督の采配を非常に高く評価しているが、ここに来て迷いが見える。監督人生で一番迷っているのではないか。打順を連日のように変えているのもその表れだ。4番・岡本和、5番・中田翔は奮闘しているが、その前後の打者が弱い。

 特に打率・133の坂本は、非常にもったいないという意味で「喝!」だ。あれだけの実績を残してチームに貢献してきた選手。指揮官にとっても扱いが難しい。思い切ってしばらく休ませるのか。それともスタメンで使い続けるのか。どちらかを選ぶ時期が迫ってきている。中途半端な起用法が一番駄目だ。他のナインも見ている。決断が必要だろう。

 34歳。坂本は瞬発力が欠けるようになってきた。打席でのスタンスが広いが、狭くして余裕を持たせて、グッとためた力を発揮できるようにしなければ。老け込むのはまだまだ早い。とにかくバットを振り込むしかない。臥薪嘗胆(がしんしょうたん)。彼の復活を心から待っている。

 投手陣ではリードした場面での7、8回のリリーフ投手。9回に守護神・大勢がいるが、そこにつなぐまでの勝ちパターンの継投が見えてこない。原監督は迷わずに「この投手でいく」と決めたら使い続けることも大切。そんな「信念」と「眼力」こそが原野球の根幹にあると私は思う。

 外国人頼みの先発ローテーションにも不安が残る。計算できるのは戸郷だけで、坂本と同様に長くチームを支えてきた33歳の菅野も下り坂にさしかかっている。非常に難しいが、日々の勝利を目指す一方で、投打とも若手への切り替えを図らなければならない時期だ。ベテラン組の復調、若手の台頭ともに、やることは一つだけ。投手は走る、打者はバットを振り込む。原監督は自分が悪役になってでも、厳しい練習を彼らに課すべき。それしか浮上への道はない。

 OBとしてだけではなくとも、巨人は強いチームであってほしい。野球界のためにも、ぜひ「強い巨人」がセ・リーグを盛り上げてほしい。

 ▽日替わり打線 投手を除き15試合中13通りのオーダーと打線が固定できていない。4番・岡本和、5番・中田翔は不動だが、それ以外の打順は3通り以上。2、6、8番は既に6選手が起用され、不振の坂本と丸は2、3、6番と動いた。

 ▽勝ちパターン継投不在 抑えの大勢は盤石だが、そこにつなぐ勝ちパターン継投が確立されていない。新外国人ロペス、左殺しの高梨が2軍落ち。15日には直江が8回を抑えてプロ初ホールド。

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