能見篤史氏 負のスパイラルに陥っている阪神・佐藤輝 結果を求めるあまりボール球見逃せず

[ 2023年4月12日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神1―7巨人 ( 2023年4月11日    東京D )

<巨・神>4回、佐藤輝は二飛に倒れる(投手・戸郷)(撮影・大森 寛明)
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 【能見篤史 視点】佐藤輝は負のスパイラルに陥っている。凡退した4打席のうち最も象徴的だったのは4回2死一塁での第2打席だ。

 初球の内角高め直球を見逃して1ストライク。2球目も同じ内角高め直球をファウルして追い込まれ、3球目も続けられて力のない二飛に打ち取られた。戸郷―大城卓のバッテリーにすれば2、3球目はボールゾーンでいい…という誘い球だったはず。これに反応してしまうと、投手目線でいえばありがたいし、捕手はリードの幅が広がる。

 結果が出ていないので打ちたい気持ちは十分に理解できるが、我慢して見逃すことができていれば、おそらくカウント2―1になっていた。打者有利の状況に持ち込めれば、投手もストライクゾーンで勝負せざるを得なくなり、佐藤輝にも勝機が出てくる。

 西勇は持ち味を発揮してよく投げた。味方打線の拙攻が続いて迎えた6回は2番からの好打順ということもあり、ギアを一段上げていた。球速も145キロまで出ていたし、しっかりと試合の流れを読めていた。

 0―1で進み、次の1点がどちらに入るかがポイントになってきた7回に先に失点。責めることはできない。1死満塁で代打・長野を一ゴロ。一、二塁間への高いバウンドで大山は本塁送球で封殺した。仮に二塁へ送球しても「3―6―3」の併殺が完成できていたかどうかは微妙で、確実に本塁をアウトにした大山の選択は仕方がないと思う。

 この回の失点で悔やむとすれば、1死無走者から坂本に与えた四球、そして一、三塁からの吉川への死球だ。決して好調とは言えない2人の打者でアウトを奪えなかったことで、逆に絶好調ですでに2安打しているオコエまで回してしまった。決して責められないが、西勇だけに、もったいないと思った。(スポニチ本紙評論家)

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