楽天・内星龍が1軍初登板で残したインパクト 小山投手コーチ「やれと言って、できるものじゃない」

[ 2023年4月12日 08:00 ]

9日のロッテ戦でプロ初登板した楽天・内星
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 ブレークを予感させる“ホープ”がベールを脱いだ。楽天の高卒3年目右腕・内星龍投手(20)だ。9日のロッテ戦(ZOZOマリン)で待望の1軍デビュー。その投球内容は未来への期待感を抱かせるものだった。

 初の開幕1軍に抜てきされながら、7試合連続で登板機会がなかった。いつ出番が巡ってくるのか―。胸の高ぶりを抑えながらブルペンで先輩の投球を見つめる日々を送っていたが、ついに待ちわびていた瞬間が訪れた。

 「内、準備だ!」

 先発の岸が2回まで6点を失という想定外の試合展開となり、ブルペンで声がかかった。与えられた役目は2番手でのロングリリーフ。3回、球場に投手交代をアナウンスが響く。「内星龍」。2万8848人の観衆のほとんどがロッテファンという完全アウェーの状況が緊張をより増幅させた。

 「思ったよりも緊張が凄かった。オープン戦とは違ったし、日数も開いていたので不安もあった。僕の立場だと、こういう場面でアピールしていかないと(1軍に)残れないと思って投げました」

 先頭・佐藤都は5球全て直球で空振り三振。「最初なので、コースを狙うのではなくてストライクゾーン内に思い切って腕を振っていった」。小細工なしの真っ向勝負。続く平沢を中飛、藤原は空振り三振に仕留めたが、勝負球はいずれも直球だった。「投げる度に緊張がワクワクに変わっていった」と振り返るように、4、5回も3者凡退。3イニングをパーフェクトに抑え、デビュー戦で強烈なインパクトを残した。

 1メートル90の長身から投げ込む150キロ前後の直球にフォークを織り交ぜる王道のスタイルだが、20歳とは思えない頭脳的な一面もある。左足を上げてから踏み出すまでの“タメ”の時間を意図的に変化させることで打者のタイミングを巧みに外していたのだ。

 「自分は球種も少ないので、フォームでタイミングをずらすのが一番良いのかなと」

 若手にありがちな、がむしゃらに腕を振るのでなく、自分の弱点を理解した上で、的を絞らせないための投球術でアウトを積み重ねた。天性の投球センスを目の当たりにした小山投手コーチは「1球ごとに投球フォームのタイミングを変えながら投げていた。やれと言って、なかなかできるものじゃない。他のリリーフと比べても遜色がないと思っている」と評価する。

 石井監督も「力でしっかり押せるし、空振りも取れる。まずは場数を踏んで慣れることが大事。大きく育ってほしい。大きく育てるために1軍に置いているので」と期待する。将来的には先発ローテーションの柱になってほしいと願っている。

 「星龍」という名前は、父が好きな坂本龍馬から「龍」の字をもらい「星」の字と組み合わせた。伸びしろたっぷりなスター候補。内星龍の名を今から覚えておいて損はない。(記者コラム・重光 晋太郎)
 

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