【伊東勤氏 視点】大混戦のパ3強実力拮抗、直接対決では差がつかない 投手陣安定のオリが若干優位か

[ 2022年9月4日 20:15 ]

<ソ・西>勝利しナインを迎える辻監督(左から2人目)(撮影・岡田 丈靖)       
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 空前絶後の大混戦だ。西武が4日のソフトバンク戦(ペイペイD)に4―1で勝利し、首位ソフトバンクとゲーム差がなくなった。2位西武とゲーム差がなかった3位オリックスも、17時からのロッテ戦(ZOZO)に勝ったため、パ・リーグ上位3チームのゲーム差が「0」になった。今後のV争いを本紙評論家の伊東勤氏(60)が展望した。

 パ・リーグの3強大混戦というと思い出すのは西武選手時代の1989年と2001年。特に89年は最終盤のダブルヘッダーでブライアントが4連発。近鉄とのマッチレースのようなイメージが強いが前半から首位を走っていたのはオリックス。最終的に1位・近鉄から3位の西武まで2厘差の大混戦だった。

 3チームによる優勝争いは難しい。対象が1チームならば先発の顔ぶれを見て、相手チームの向こう一週間の勝敗を予測することができるが、対象が2チームとなるとそうはいかない。他の2チームが直接対決していれば必ずどちらかは勝つし、別カードで戦っていても両方が負けるという計算は立てられない。つまり自分のチームが差をつけられないためには勝つしかないのだ。よくトーナメントのような気持ちで戦うというがまさにその通り。目先の1勝を取りに行く戦いになる。

 現時点の戦いぶりを分析するとオリックスが若干優位かなと思う。山本、宮城、山岡、田嶋らの投手陣は安定しているし、野手陣も昨年の優勝経験から落ち着いて戦っている。ソフトバンクも千賀が戻り東浜も復調傾向。野手では柳田、中村らに底力がある。西武は両チームに比べ先発陣が少し薄いか。野手陣は経験豊富だが、救援陣が若く厳しい戦いの中で結果を残せるかが焦点になる。いずれにしても3チームの力は拮抗し直接対決では差がつかないと思う。

 かつてCSのない時代は優勝争いから脱落したチームとの戦いは比較的楽だった。だがいまは違う。3位の可能性があれば楽天もロッテも食いついてくる。難しいのは日本ハムとの戦い。若い選手は自分が生き残るために目の色を変えてくるし、新庄監督も手綱を緩めないだろう。ライバルとの直接対決の直後に下位に取りこぼし、痛い目に遭うことがよくある。143試合目まで気の抜けない戦いが続く。

1 ソフトバンク 63勝55敗2分 .534 残23
2 西    武 65勝57敗3分 .533 残18
3 オリックス  66勝58敗1分 .532 残18

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