オリックス・由伸に新たな勲章 沢村賞受賞で名実ともに球界ナンバーワンに 球団では金子以来2人目の栄誉

[ 2021年11月23日 05:30 ]

沢村賞の受賞が決まり笑顔のオリックス・山本
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 沢村賞の選考委員会(堀内恒夫委員長)が22日、都内で開かれ、パ・リーグの投手4冠に輝いたオリックス・山本由伸投手(23)が全会一致で初選出された。球団では14年金子千尋以来7年ぶり2人目の快挙。球界ナンバーワンの称号を手にした絶対エースは、23日に第3戦が行われる日本シリーズが第6戦以降にもつれれば、再びマウンドに上がる意欲も示した。

 絶対エースに、輝かしい勲章が加わった。先発投手としての最高の栄誉「沢村賞」を手にした山本は、都内のホテルで会見に臨み、謙虚に喜びを語った。

 「とにかく一番、素晴らしい賞なので、心からうれしく思いますし、本当に自信になります。誰かに評価されるのはすごくうれしく思うので、みなさんの意見が一致で選んでいただき、ますます、うれしいです」

 文句なしの全会一致だった。150キロ超の直球に高速フォークを織り交ぜ、ブレーキの利いたカーブで緩急も駆使。最多勝、防御率、最多奪三振、勝率第1位の先発投手のタイトル4部門を独占し、リーグトップの4完封で「投手5冠」に君臨した。球団新の15連勝にCSを加えた16連勝中で25年ぶりのリーグ優勝、日本S進出の立役者となった。名実ともに球界ナンバーワン投手の称号をつかんだ。

 「この賞は唯一、選んでいただく賞なので少し認めていただけたのかなと思います。(歴代レジェンドに)並んだとは言えないですが、素晴らしい賞を自信に変えてレベルアップしていけたら」

 ダルビッシュ、田中将ら偉大な先輩たちは沢村賞受賞後に海を渡った。山本も今夏の東京五輪でエース格として侍ジャパンの金メダルに貢献するなどメジャーからの注目度は高いが、「今のレベルで通用すると思わない。とにかく一日一日、練習して頑張りたい」と控えめにとどめる。今は目前の悲願成就に照準を合わせるのみだ。

 その視線は頂上決戦に向かう。20日ヤクルトとの日本シリーズ第1戦は6回1失点とリードを許して降板も、9回に吉田正のサヨナラ打で先勝。チームは1勝1敗のタイで23日から東京ドームでの3連戦に臨む。もつれた場合は第6戦の再登板が見込まれる。

 「前回は最後に逆転していただいて勝てたので、おそらく1登板残っているので、次は自分がチームを勝たせられる投球がしたい。投げたい気持ちもあるけど、早く日本一が決まってほしい気持ちもあります」。まずはナインを信じる。その上で登板機会が巡ってくれば――。その時は沢村賞右腕が、25年ぶりの日本一へ導く快投を演じるのみだ。(湯澤 涼)

 ◇山本 由伸(やまもと・よしのぶ)1998年(平10)8月17日生まれ、岡山県出身の23歳。宮崎・都城では甲子園出場なし。16年ドラフト4位でオリックス入り。18年にセットアッパーとして1軍定着。19年は先発に転向し防御率1・95で初タイトル。20年は149三振で最多奪三振。侍ジャパンとして19年プレミア12と東京五輪に出場。1メートル78、80キロ。右投げ右打ち。

 ▽沢村賞 正式には「沢村栄治賞」。史上初の無安打無得点試合を達成した伝説の大投手、故沢村栄治氏(巨人)を記念し、1リーグ時代の1947年に制定された。シーズンで最も優れた先発完投型の投手に贈られる賞で、2リーグ分立の50年からはセ・リーグの所属投手だけが選考対象、89年から両リーグに広げられた。当初は記者投票、82年から受賞経験者らによる選考委員会で選出している。

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