コロナで石川大会辞退の星稜 3年生の引退試合で父母が打席に入る“真剣勝負”企画

[ 2021年11月14日 16:17 ]

引退試合に臨んだ星稜の3年生部員
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 野球部員を含む新型コロナウイルスのクラスターが発生したことを受け、今夏全国高校野球選手権石川大会の準々決勝前に出場を辞退した星稜が14日、金沢市内の同校グラウンドで3年生の引退試合を行った。1、2年生で構成されたチームと対戦した27人の3年生部員は慣れ親しんだグラウンドで全力を尽くした。

 試合前の円陣で林和成監督(46)から「負けるはずないだろ!」と激励され、グラウンドへ。すっかり髪の伸びた3年生は、秋季北信越大会準優勝で来春選抜大会選出を有力とした下級生に、真剣勝負を挑んだ。試合はブランクなどの影響もあり、終始劣勢に。それでも1―4の最終回に2点を返すなど、身上の粘りは見せた。旧チームで主将を務めた中田達也(3年)は「久しぶりに着てみて、やはり星稜のユニホームはカッコいいと思った。最後、今までで一番楽しく、試合ができました。スッキリと終われました」とさわやかに笑った。

 27人の部員のうち、約3分の1が高校で野球を終える。試合前には3年生部員が投手を務め、父母が打席に入る親子の“真剣勝負”も企画された。星稜らしい保護者も含めた一体感で花道を演出。来年3月での退任が決まっている林監督は試合後、ヤクルト・奥川らから送られた激励メッセージを3年生に紹介。「一生、忘れられない世代。シートノックの時には手が震えた」と感無量の表情で振り返った。

 20年は夏の大会自体が開催されず、今年はコロナ禍で辞退。2年連続で涙に暮れる先輩達の姿を見てきただけに2年生部員の思いは強い。佐々木優太主将(2年)は新チーム結成時に「2年分の先輩の思いを背負って勝とう」とチームを鼓舞。秋季北信越大会準優勝と結果を出した。「甲子園で活躍している姿を見せることで3年生や、いろんな人に感謝の気持ちを表したい」と力を込めた。

 旧チームで背番号「1」を背負った野口練投手は「つらい経験でしたが、それを思い出すことで、より1日、1日を大切にして過ごしていける」と話した。高校野球は終わった。だが、人生は長く続いていく。たくましさを増した3年生が、未来へと力強く歩を進めていく。

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2021年11月14日のニュース