日本シリーズ 史上初延長タイブレーク検討 自治体の時短要請考慮 ギリギリ日程で“第8戦”の余裕なし

[ 2021年9月7日 00:00 ]

11年の中日とロッテの日本シリーズ第6戦は延長15回引き分け。試合時間5時間43分は史上最長だった
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 プロ野球の日本シリーズで、史上初の延長タイブレークが検討されていることが6日、分かった。日本野球機構(NPB)と12球団はオンラインで理事会、実行委員会を開き、日本シリーズのレギュレーションなどを協議。従来は第7戦までは延長12回まで、第8戦以降は回数無制限での方式だが、新型コロナウイルス感染拡大を受け、各自治体は試合の時短要請を続けている。限られた状況下で決着をつけるため、現実的な案として浮上した。

 コロナ下の日本シリーズが大幅な変更を迫られる可能性が出てきた。NPBと12球団は今年のレギュレーションを協議。日本一の座を明確なものにするため、浮上したのがタイブレーク導入だった。

 野球協約の日本シリーズ優勝規定は「一方のチームが4勝すること」。従来、第7戦まで延長は12回。第8戦以降は延長回は決着まで無制限となっている。昨年は公式戦は延長10回打ち切りとしたが、日本シリーズは延長ルールを従来通り実施。感染拡大などでシリーズ続行が不可能となった場合、終了時に勝ち数の多いチームを日本一とし、同数の場合にはTQB(得失点率差)で勝者を決めるという特例だけ加えた。

 今季もポストシーズンが1週間繰り下げられ、最終第7戦は11月28日を予定。雨天中止を挟む恐れもあり、選手の参稼報酬期間である11月中の決着へ日数の余裕はない。また、各自治体から深夜を避ける時短要請が出され、公式戦は延長戦を廃止した9回打ち切りで、開始時間の繰り上げが続く地域もある。シリーズが行われる11月下旬でも感染状況は見通せず、長く延長戦を戦うことは現実的ではない。9回打ち切りでは引き分けが増えることが予想される。

 NPBの井原敦事務局長は「日本シリーズも試合時間などの制限は予想される。制限内でどのようなことができるのか議論した」と説明した。タイブレークはNPBの試合では昨年のファーム選手権で初採用されたが、1軍の試合では一度もない。ペナントレースと異なる方式での実施に反対する声もあり、11月内に4勝に達するチームがなく、勝ち数が同数の場合はTQBでの決着を推す向きもある。ただしファン目線に立てば、仮に1勝1敗5分けなど極端なケースでTQBにより日本一が決まるよりも、タイブレークを行い4勝する王者を見たい、という声は多そうだ。

 井原事務局長は「来季へ向けて出場登録選手の数など、どう検討していくかの頭出しの議論もあった」とも話した。感染状況は全く見通せず、収束のめども立っていない。今季は引き分け数が6日現在で79とプロ野球記録を更新中。状況次第で来季の公式戦でもタイブレークの検討を迫られるかもしれない。

 ≪ファーム選手権は昨年に続き導入≫NPBは、10月9日のファーム選手権(宮崎)で昨年に続いてタイブレークを実施することを決め、発表した。延長11回以降は継続打順で無死一、二塁から始め、その後のイニングは決着がつくまで行う。昨年11月の同選手権において、NPBの試合で初めて導入された。試合は9イニングで決着し、楽天が6―4でソフトバンクを下した。

 【各組織&大会のタイブレーク】

 ☆アマ野球 社会人野球は03年からタイブレークを導入。大学野球では11年の全日本大学野球選手権で採用し、東都大学野球リーグでは19年秋から延長10回から無死一、二塁で、継続打順で実施している。高校野球では甲子園大会で18年から採用。同年夏の1回戦、佐久長聖―旭川大高戦で初めて適用となった。21年からは決勝戦でも採用。

 ☆大リーグ コロナ禍の影響を受け、特別ルールとして20年シーズンから実施。延長10回から無死二塁でスタートする。ダブルヘッダーは7回制で、タイブレークは延長8回から。

 ☆国際大会 東京五輪の野球競技では、延長10回からタイブレーク。無死一、二塁でスタートした。17年WBCでも採用され、延長11回から同じ無死一、二塁で実施。

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