大谷 “四刀流”へマドン采配の夢広がるが…深まる依存 高まる不安 

[ 2021年5月13日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス1ー5アストロズ ( 2021年5月11日    ヒューストン )

<アストロズ・エンゼルス>先発で7回1失点の大谷
Photo By AP

 エンゼルスの大谷の「三刀流」起用について、エンゼルスのジョー・マドン監督は「6回から考えていた。7回まで投げ、もう1打席立たせたかった」と説明した。8回に同点に追いつき、9回の打順は1番から。「2番・大谷」の4打席目に期待し、本塁打を放った右翼ウォードの打順に投手を入れ、その右翼に大谷を回した。

 4月24日のアストロズ戦でDHを解除され、米4年目で初めて外野(左翼)の守備に就いたが、大量リードを許し、野手を使い果たした事情があった。今回は1―1の同点で、守備のミスも許されない局面。策士で知られる指揮官は、ア軍の8回の攻撃は右打者が3人続くために、左翼ではなく右翼に配置し、さらに「送球する場面が来たら、素早く中継に返してくれ」と、「レーザービーム禁止」の通達まで出していた。

 日本ハム時代に外野経験があるとはいえ、エンゼルスでは打撃練習の時に外野で球拾いをする程度。外野手の送球は投球とは体の使い方も違い、故障のリスクもある。守備機会は右前打を処理しただけだったが、マドン監督は「際どいプレーなら彼は投げていただろう」と話した。常に全力プレーが大谷のプレースタイルでもある。

 結果的に救援陣が4点を勝ち越され、大谷は9回は見逃し三振に倒れた。ただ、マドン監督が「結果以外は全てうまくいった」と手応えを得たように、今季は起用の幅がどんどん広がっている。リアル二刀流、登板前後の野手出場、そして投手から外野に回る「三刀流」。さらに、この日は初めて中5日で先発した。借金3で地区最下位に沈むチームにとって、大谷への依存は高まるばかり。「三刀流」解禁で、可能性としては、外野からもう一度、マウンドに戻る選択肢も考えられる。

 マドン監督は、今後の外野手での起用について「可能性はある」とした上で「彼は何でも簡単そうにやり遂げるが、実際は容易ではないことを理解しなければいけない」とも言った。今季は全35試合に出場。メジャーは連戦や長距離移動の負担も大きく、大谷も「軽い時差というか、だるさはあった」と明かした。全米中が注目する二刀流だが、起用の幅が広がれば広がるほど、故障のリスクは高まる。

続きを表示

この記事のフォト

2021年5月13日のニュース