米国野球殿堂は8年ぶり選出なし 16票足りなかったカート・シリング氏「来年の投票には参加しない」

[ 2021年1月27日 20:25 ]

レッドソックス時代のカート・シリング氏(右)と松坂大輔
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 米国野球殿堂が26日(日本時間27日)、今年の投票結果を発表した。全米野球記者協会に10年以上在籍する401人の記者が投票したが候補者25人全員が75%の得票率を得られず、8年ぶり9度目の該当者なしとなった。

 最多得票はカート・シリング氏の285票だが、16票足りず、得票率71・1%。2番目はバリー・ボンズ氏で53票足りず、同61・8%、3番目はロジャー・。クレメンス氏で54票足りず、同61・6%だった。

 大リーグ専門チャンネル「MLBネットワーク」の中継中に衝撃が走ったのは、シリング氏が自身のSNSで殿堂に送ったという手紙を公表したこと。長文の手紙で「今回75%に届かないことはわかっている。22年間プレーして、常に良いチームメイトであり続けた。家庭内暴力を犯したり、薬物に手を染めたりもない。メディアが作り上げたカート・シリングは存在しない」と書き、自分自身に人種差別主義者のレッテルを貼り、投票しない記者を批判した。

 米国野球殿堂の選出基準には人格、品性、道徳的かどうかを問う部分がある。その上で「来年(22年)の投票には参加しない。投票用紙から自分の名前を外すように、リクエストする。私は(選出については)“ベテランズコミティー”に委ねる。私は自分が殿堂入りの選手だとは思わないが、昔の選手たちがそう認めてくれるなら栄誉を受ける」とした。

 過去の例から見て、70%の得票率を得た選手はほとんどが翌年75%越えを果たしている。だが、シリング氏は、1月6日に5人の死者を出した米議会襲撃事件を擁護するツイートを投稿。すでに投票を済ませ、同氏の殿堂入りを推していた複数の記者が投票用紙の修正を要求するという事態が起きていた。

 同番組に出演していたニューヨーク・ポスト紙のジョエル・シャーマン記者、スポーツ・イラストレーテッド誌のトム・べドューチ記者らは、ポストシーズンで偉大なピッチングを続けたシリング氏にこれまで通り投票するとしたが「75%越えはどうかわからない」とした。 

 史上最多762本塁打のボンズ、歴代最多7度のサイ・ヤング賞のクレメンスについては、毎年、得票率を少しずつ上げてきてはいるものの、現役時代に薬物使用が取り沙汰された影響で、上昇幅が少なく、今年も61%止まり。スポーツサイト「ジ・アスレチック」のケン・ローゼンタル記者は「今回53票、54票も足りないのに、1年で埋めるというのは厳しい。来年もだめではないか」と予測した。

 ちなみに22年はアレックス・ロドリゲス氏、デビッド・オルティズ氏が投票の対象となるが、ともに薬物使用問題で過去に名前が出ており、特にロドリゲス氏は選出は難しいとされている。(奥田秀樹通信員)

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2021年1月27日のニュース