野球少年などジュニアアスリートの育成に昔遊びを活用しよう

[ 2020年5月19日 14:30 ]

ソフトバンク・工藤監督
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 【君島圭介のスポーツと人間】長い自粛生活で、子どもたちが抱えるストレスが問題となっている。新型コロナウイルスを警戒する心理面も大きいが、外で思いっきり遊べない身体的な拘束感は相当な負担だろう。

 我が家の「小学生アアスリート」も週に6回ペースで通っていたクラブの練習がままならず、溜まったストレスを家の中で発散中だ。大声で暴れ回って近所迷惑もはなはだしい。つい怒鳴りつけたくなる。近所の公園ではサッカー少年がリフティング練習していたり、野球少年が壁にボール当てしているが、隅の方で大人の目を盗んで申し訳なさそうな感じだ。

 緊急事態宣言下の5月5日のこどもの日、ソフトバンクの工藤監督が球団の公式ホームページを介して「オンライン野球塾」を開講した。その中で、めんこを取り入れた練習を勧めていた。腕の振り方や手首の使い方が野球のスローイングの参考になるという。

 昔遊びの中にはジュニアアスリートの運動能力を上げるヒントが数多く潜んでいる。近年は運動能力を7つに細分化して「コーディネーション能力」と呼ぶ。テンポのいい動作を身に付ける(1)リズム能力、体勢を制御する(2)バランス能力、動きの変化に対応する(3)変換能力、合図で素早く正確に動く(4)反応能力、手足を同調させる(5)連結能力、動いている対象と自分の位置を正確に把握する(6)定位能力、道具を巧みに操作する(7)識別能力だ。

 例えば鬼ごっこ。(3)(4)(6)の能力向上ばかりか、心肺機能まで鍛えられる。集団での外遊びが出来ない現状では、工藤監督も勧めるめんこの他にも、お手玉、けん玉、ベランダでのゴム跳びも有効だ。集中してやればどれも優秀なトレーニングになる。しかも楽しい。

 大会どころか、満足な技術練習も出来ない現状だが、「今はスポーツどころではない」と自粛する必要なんてない。いつか新型コロナウイルスに打ち勝ち、活動が再開される日はやってくる。そのときのために「コーディネーション能力」を上げておくことが大事だ。遊びながらライバルたちを出し抜いてやろう。

 ステイホームのおかげで家庭用の簡易トランポリンが売れているという。トランポリンは(1)と(2)を徹底的に鍛えてくれる。仕方がない。スプリングを壊されようと、ベッドの上を跳ね回る息子のことは放っておこう。(専門委員)

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