日本ハム・田中賢介SA 前例なき“第二の人生”小学校設立し理事長就任「北海道に恩返しを」

[ 2020年5月19日 05:30 ]

学校設立の考えを語った田中賢介氏
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 日本ハムの田中賢介スペシャルアドバイザー(SA=38)が18日、札幌市内で取材に応じ、22年度を目標に同市豊平区に私立小学校を開校する計画を進めていると発表した。学校法人「田中学園(仮称)」を設立し、理事長を務める。

 田中SAは現役20年のうち14年を札幌ドームを本拠としてプレーし、昨季限りで引退。「これまで応援していただき、北海道に恩返しをしたかった。大前提に子供が好きという思いがあり、それなら北海道を将来引っ張っていく子供たちのために教育関連で社会貢献ができたらと考えた」と動機を語った。2児の父としてかねて教育に関心があり「2、3年前から」構想を温めていたという。

 札幌大研修センター跡地を購入し、施設を改修して校舎とすること、児童は1学年50人の計300人とすることなどの計画を北海道に提示。手続きを進める。開校資金は「これまで野球をやらせてもらったお金を使う」とし、運転資金については企業などにも広く協力を募る考えだ。

 メジャー挑戦した2年間の経験も踏まえ、教育のコンセプトには「世界に挑戦する12歳」を掲げた。「欧米ではミスをしても“ナイストライ”と認めてくれる。挑戦、トライすることを伸ばせる学校にしたい」。江別市で中高一貫の進学校、立命館慶祥を運営する学校法人立命館と連携を協議していることも明かした。

 日本プロ野球選手会の森忠仁事務局長が「学校設立というのはOBやセカンドキャリアでも今まで聞いたことがない」と語るように、プロ野球選手の「第二の人生」としては前例のない挑戦となる。(和田 裕司)

 《栗山監督もエール「素晴らしいこと」》札幌市内の合宿所でチーム練習を視察した日本ハムの栗山監督が、田中SAにエールを送った。「素晴らしいこと。頑張ってよくここまで持ってきたと思う。次の世代を担う子供たちは大切。ぜひ頑張ってもらいたい」。自身は教員免許を持ち、白鴎大で教壇に立った。「できる限りのことを球団のみんなで手伝ってあげたいし、応援したい」と語った。

 ○…海外のアスリートでは学校を設立した例はある。NBAのレーカーズに所属し、最優秀選手を4度受賞したスター選手、レブロン・ジェームズは社会活動に熱心なことで知られ、故郷のオハイオ州アクロンに公立の小学校を設立。他にNFLのジェイムス・ヘディーボはナイジェリアで大学を運営、北京五輪で金メダルに輝いた米女子サッカーのステファニー・コックスはバハマで学校建設地の整地を行った。

 ◆田中 賢介(たなか・けんすけ)1981年(昭56)5月20日生まれ、福岡県出身の38歳。東福岡から99年ドラフト2位で日本ハムに入団。二塁手として06年から5年連続でゴールデングラブ賞に輝き、ベストナインも6度受賞した。12年オフに海外FA権を行使し、ジャイアンツとマイナー契約。13年にレンジャーズに移籍し、15年に日本ハムに復帰。19年に現役を引退し、今季から日本ハムSAに就任した。右投げ左打ち。

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