無観客試合で感じたファンの大きさ 通常開幕の可能性探る一方で…期日迫る難しい決断

[ 2020年3月6日 09:00 ]

<巨・ヤ1>無観客試合の東京ドーム全景(撮影・久冨木 修)
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 2月29日、3月1日と巨人―ヤクルトのオープン戦を取材した。東京ドームで行われた無観客試合。通常の開催時には聞くことができない打球音やミット音、ベンチからの声には新鮮味もあったが、寂しさもあった。

 歓声や拍手がない違和感は相当なものだった。29日の試合後、実際にマウンドに立った菅野は「あらためて、ファンの方の声援だったり、そういうものが自分たちの力になっているんだなと考えさせられる部分がありました」と振り返った。これにはチーム関係者だけでなく、同感した報道関係者も多かった。

 巨人は3、4日と「非常事態宣言」が出されている北海道で、日本ハムとのオープン戦に臨んだ。その他、各球団も各地で試合を行っている。「自分たちがあちこち移動することが、行く先々の方に迷惑をかけているんじゃないか」。「開幕を考えたら、調整のためにも試合をやらないわけにはいかない」。球界関係者の反応も様々ある。プロ野球界も見えない敵を前に苦しみ、悩んでいる。

 2日には日本野球機構(NPB)と日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)が「新型コロナウイルス対策連絡会議」を設立することを発表した。競技の垣根を越え、スポーツ界としても向き合っていく姿勢を強く示した。プロ野球は現状、3月20日の開幕を目指しているが、先行きは不透明。その可否をめぐり、慎重に議論を進める。

 数多くのファンに支えられているスポーツ界。今回、無観客試合により、あらためてその大きさを痛感させられた。ファンの期待に応えたいという一身で通常開幕の可能性を探るが、一方ではファンを危険にさらしたり、周囲の人間までを巻き込むわけにもいかない。「どういう結論になっても、必ず賛否はある」と球界関係者。その期日は迫っている。(記者コラム・川手 達矢)
 

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2020年3月6日のニュース