星稜・奥川94球完封!旭川大高を“圧投”3安打9奪三振で三塁踏ませず

[ 2019年8月8日 05:30 ]

第101回全国高校野球選手権大会 第2日1回戦   星稜1―0旭川大高 ( 2019年8月7日    甲子園 )

<旭川大高・星稜>6回、右肘部分が薄くなったアンダーシャツで力投する星稜・奥川(撮影・木村 揚輔)
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 令和最初の主役は奥川だ!1回戦4試合が行われ、優勝候補の星稜(石川)が1―0で旭川大高(北北海道)を下した。最速158キロを誇るエース・奥川恭伸投手(3年)がギアを入れ替えながら、わずか94球で3安打9奪三振完封。大船渡・佐々木朗希投手(3年)らが不在の中で大会No・1の実力を発揮。昨夏、今春はともに2回戦で姿を消した悔しさを胸に、悲願の全国制覇へ最高のスタートを切った。

 笑顔を絶やさず、9回を投げ切った。聖地で奥川は実力を存分に発揮した。許した安打はわずかに3本。三塁すら踏ませぬわずか94球の省エネで「令和初完封」を達成した。

 「初戦をしっかりと勝ち切れたことはうれしい」

 意図的にギアを全開にして試合に入った。初回、先頭・佐藤を甲子園での自己最速となる153キロ直球で空振り三振。巨人、ロッテのスピードガンで154キロを計測した剛球でリズムに乗った。

 「初回に点をやるのとやらないのとで、相手が乗るかどうかが変わる。初回の入り方を大切にした」

 3者連続三振で立ち上がると、2回からは制球重視へ移行する。淡々とアウトを積み重ね、四球もわずか1。1―0の9回1死から持丸の大飛球は、右から左へと吹き抜ける浜風に戻され、右翼手のグラブへ収まった。「風で助かりました」と自然も味方につけた。

 4季連続出場の甲子園。着実に経験を積んできた。「前はバスを降りたくらいからガチガチになっていた」。緊張で力を出し切れなかったが、今は違う。「甲子園独特の雰囲気にのまれることなく、すごくいい緊張感でした」と笑う。

 チームは1メートル程度の大型クーラーボックスを準備。経口補水液100本以上を入れ、ベンチに持ち込んだ。奥川は昨夏の2回戦・済美戦で、右ふくらはぎをつった。6―1の4回で降板しただけにチームとしても猛暑対策を講じてきた。

 1―0の完封勝利。県勢ではレジェンドOBである76年夏の小松辰雄以来の快挙だが「投手の立場ならうれしいが、次勝つためにやらないといけないことがチームとしてたくさんある」と表情を引き締める。大会前には「四天王」と称される大船渡・佐々木朗希から激励の連絡も受けた。大会No・1右腕は周囲の期待を一身に背負ってマウンドに上がる。(桜井 克也)

 ◆奥川 恭伸(おくがわ・やすのぶ)2001年(平13)4月16日生まれ、石川県出身の18歳。小3から野球を始め、宇ノ気中では軟式野球部に所属し、3年夏に全国優勝。星稜では1年春の北信越大会からベンチ入りし、2年時に侍ジャパンU―18代表。自己最速は158キロ。1メートル83、82キロ。右投げ右打ち。 

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