イチ「特別な開幕」メジャー流儀式に日本中が戸惑い&感動

[ 2019年3月21日 05:30 ]

ア・リーグ開幕戦   マリナーズ9―7アスレチックス ( 2019年3月20日    東京D )

4回、交代するイチローはチームメートとハグする(撮影・西海健太郎)
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 マリナーズのイチロー外野手(45)が20日、アスレチックスとの開幕戦に「9番・右翼」で先発出場。日本では7年ぶりに公式戦出場し、二飛、四球の1打数無安打で4回裏の守備から退いた。大リーグ公式戦でのプレーは昨年5月2日(日本時間3日)以来で、チームは9―7で勝利した。スコット・サービス監督(51)は21日の第2戦もイチローを起用することを明言した。

 東京ドームの4万5787人観衆がざわついた。4回裏。いったん右翼の守備に就いたイチローが駆け戻ってきた。交代。同僚が駆け寄り抱擁し、ハイタッチでベンチへ。アスレチックスのベンチも総立ちで拍手を送った。メジャーでも、スーパースターだけに許される時間だった。

 「日本のファンの人、アメリカ(では)よくやるけど、ちょっと戸惑ったよね。それはそうでしょう」

 2打席での交代は、試合前に知らされていた。ただ、ナインからのハグはイチローも想定外。演出したスコット・サービス監督は「この試合の意味をよく分かっている。彼が輝く瞬間を演出したかった。あの場面でふさわしいことをやりたかった」と明かした。

 昨年5月を最後に公式戦でプレーしなかった背番号51。マイナー契約を経て322日ぶりの復帰戦が、7年ぶりの日本での凱旋となった。「見ているファンの人たちも違う雰囲気に感じましたけどね。ジャイアンツとやっていた時は練習ぽい雰囲気が全体にありましたけど、今日は全くなかった」。公式戦ならではの張りつめた空気を実感した。

 3回無死二塁の第1打席では144キロ直球に差し込まれて二飛に終わった。4回無死一塁の第2打席では3ボール1ストライクから4球連続ファウルの末に四球。150キロ超の直球に粘った末に奪ったもので、右翼線へ鋭いファウルもあった。しかし、この打席について振られると、悔しさをにじませ「(それは)いいんじゃないの」と短く返した。マイナー契約から開幕にこぎつけた喜びは一切、見えなかった。

 「特別な開幕です」と振り返ったが、「特別」とは2打席限定だった自らの立場を示したものだ。オープン戦からの連続打席無安打は26に伸びた。サービス監督は21日の第2戦も「先発かは分からないがプレーする」と起用の方針を示したが、本拠地シアトルに戻ってからはメジャー登録枠が28から25に減る。菊池のデビュー戦と同時進行で繰り広げられるサバイバル。状況を打開するのは自らのバットしかない。(大林 幹雄)

 ≪日本球界では29年が最長≫日本のプロ野球の実働最年長記録は82~10年工藤公康(西)、86~10年、12~15年山本昌(中)、87~15年中嶋聡(日)の29年。イチローの日米通算実働28年はそれに次ぐ。また、満45歳以上の外野手出場は57年岩本義行(東映=45歳)の5試合があるだけで、イチローは最年長タイになる。また、大リーグで45歳149日での開幕スタメンはフリオ・フランコ(当時ブレーブス)の04年の45歳227日に次ぐ野手史上2位の高齢だという。

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