金足農に秋田県県民栄誉賞 輝星「今度は自分で活躍してもらいたい」

[ 2018年11月29日 05:30 ]

金足農高野球部の3年生を代表してあいさつする吉田(撮影・荻原 浩人)
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 秋田県は28日、今夏の甲子園で秋田県勢103年ぶりの準優勝を果たした金足農野球部に県民栄誉章を贈った。秋田市内で行われた顕彰式に出席した日本ハムのドラフト1位・吉田輝星投手(17)はプロで活躍して、個人で受章する決意を語った。プロ野球選手では過去に落合博満氏(64)、山田久志氏(70)しか受章しておらず、個人、団体を通じ2度の受章となれば史上初となる。

 金足農のユニホーム姿で吉田輝がナインとともに登場すると、招待された県民ら約800人から割れんばかりの声援を受けた。会場からは「かっこいい」などの声も上がる中「(甲子園で)準優勝できたのは、力強い応援と周りの方々の支えの結果です」と感謝した。

 第100回の記念大会となった夏の甲子園で、秋田県勢103年ぶりの準優勝。全6試合に先発して881球を投げた吉田輝は一躍スターとなり、金足農旋風と呼ばれた。今回はチームとしての受章だが、吉田輝は報告会後に「こういう賞を今度は自分でしっかり活躍してもらいたいなと思います」と言った。

 同章を受章したプロ野球選手は、3度の3冠王を達成した落合博満氏と、プロ通算284勝を挙げた山田久志氏だけだ。「(2人が)凄いというのは知っている。(山田氏は)球場に名前を残せるくらい有名。自分もそれくらい有名になれるように、しっかり活躍したい」。秋田工出身の落合氏も8月に「秋田から久々に出た超一級品のピッチャー」と素材を高く評価している。自らを信じ、秋田のレジェンドの道を歩む決意を示した。個人、団体通じても2度の受章者はいない。

 これまでの授与式は関係者のみの参加だったが「みんなで一緒にお祝いしたい」との県民の声に応え、初めて一般参加者も募集。定員の796人を大幅に超える1万2195人、倍率15・3倍の応募が集まった。衰えぬフィーバーぶりに、吉田輝も「甲子園のスタンドのような満員でうれしい」と笑顔だった。

 報告会では、会場内全員での金足農校歌斉唱や、地元中学生の質問コーナーなども行われた。「秋田大会と甲子園を通して一番変化したことは」との質問には「日替わりでヒーローが生まれたので、目立ちたいって気持ちが生まれた。自分が決めてやるという思いが全員、成長した」と返答。「変わらなかったことは」には「仲の良さ」と胸を張った。

 甲子園後に体重を81キロから85キロに増量。国体以来、約2カ月ぶりのユニホームに「胸と背筋、尻に筋肉が付いてきつくなった」と手応えも得た。「北海道から熱いニュースを送れるように頑張ります」。地元の声援を力に北海道で新たな伝説をつくる。(武田 勇美)

 ▼秋田県・佐竹敬久知事 チーム一丸となって、逆境でも自分たちのスタイルを貫くひたむきなプレーは多くの人を魅了した。農業のイメージアップにも大きく貢献した。

 ▽金足農旋風 決勝まで9人だけで戦い抜き、強豪相手に競り勝った金足農の大躍進を称えた言葉。決勝では2度目の春夏連覇を狙う大阪桐蔭に2―13と大敗したが、エース吉田は全6試合に登板し5完投、計881球の力投。最速150キロも計測し、一躍全国区となった。凱旋帰郷の際は、秋田空港で1400人が出迎える大フィーバー。「公立」「全員が地元出身」「農業高校」と異色のバックグラウンドで魅了し、「2018年ユーキャン新語・流行語大賞」の候補30語にも選ばれた。

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2018年11月29日のニュース