ヒゲを剃り落としたオリ新助っ人・ローチ「ラッキーはもう終わった」

[ 2018年8月30日 10:00 ]

オリックス・ローチ
Photo By スポニチ

 「Hey!」。今月26日、千葉・ZOZOマリンのベンチ裏で声を掛けられ、一瞬、誰だか分からなかった。トレードマークの口ヒゲをバッサリと剃り落としていたから。オリックスの新助っ人・ローチだ。任天堂の人気ゲーム「スーパーマリオ」の主人公マリオのような立派な口ヒゲを蓄えたダンディーだった容貌は一変していた。実は童顔。ローチを担当し、日々行動を共にする荒木通訳も気付かなかったとか。「僕も朝起きて宿舎でローチに会った時、誰だか分かりませんでしたよ」と苦笑いだった。

 無敗の象徴だった。今季途中から加入したローチは、ヒゲを伸ばし始めた今年5月下旬から3Aで6連勝。6月はインターナショナルリーグの月間MVPに輝いた。「ホワイトソックスはアゴひげはだめだったから、口のところを伸ばしていた。それから良い投球が続いているんだよ」と話していた。来日初登板となった7月22日のロッテ戦から4試合に先発し勝敗つかず、8月12日のロッテ戦で先発登板翌日に救援登板し来日初勝利。2カ月間にわたって、日米負けなしを呼び込んだ“幸運のひげ”だった。

 暗転は今月18日のソフトバンク戦で5回4失点で初黒星。前回登板の25日のロッテ戦では4回5失点でKOされた。来日7試合で1勝1敗、防御率4・31。悪循環に陥った。

 ルーティンを崩すことを嫌ったり、験担ぎも重視される球界で、ヒゲもその一つと考える選手は多い。日本球界では、90年代の横浜でセットアッパーとして活躍したヒゲ魔神・五十嵐英樹投手が有名。口ヒゲを蓄え98年に5勝2敗、防御率2・61でリーグ優勝と日本一に貢献。これは優しい性格を隠すために生やしたものだった。

 穏やかな顔立ちのローチも、験担ぎだけではなかったはず。それだけに、次戦に懸ける思いの強さがうかがえる。「“ラッキーはもう終わった”と話していましたよ」と荒木通訳。チームは借金7を抱え、リーグ5位に沈むが、ヒゲとともに厄も落とした新助っ人が、再浮上のキーマンになりそうだ。(記者コラム・湯澤 涼)

続きを表示

2018年8月30日のニュース