阪神 今季ワーストの借金4も糸原が1号弾「いい感じで打てました」

[ 2018年6月23日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神3―5広島 ( 2018年6月22日    甲子園 )

8回2死一塁、阪神・糸原は右越えに2点本塁打を放つ(撮影・北條 貴史)
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 阪神はリーグ再開戦となった22日の広島戦に3―5で敗れ、今季ワーストとなる借金4を抱えた。大瀬良に今季3戦3敗を喫し、交流戦明け初戦も3年連続で広島相手に黒星発進。そんな敗戦にあって5点劣勢の8回に糸原健斗内野手(25)が1号2ランを放ち、惨敗ムードを振り払った。

 右翼席を中心に「六甲おろし」の大合唱が響き渡った。虎党にとっては待望の瞬間が到来。5点を追う8回だ。2死一塁からジャクソンの内角低めのスライダーを糸原が完璧に捉えた。

 「いい感じで打てました。後ろの打者につないでプレッシャーを与えられたとは思う」

 手応え十分の一撃だった。1メートル75・78キロとプロ野球選手の中では小柄な体格。その体全身を使ってフルスイングした大飛球は右翼ポール際に吸い込まれていった。今季263打席目で飛び出した待望の1号2ラン。プロ1号を記録した昨年7月9日の巨人戦から277打席ぶりの通算2号アーチでもあった。

 「今まで、どうしてもセンターから逆方向へのヒットが多かったけど、ああやって、強い打球で引っ張れるのが彼のよさ。昨日もいい打球のセンターライナーを打っていたし」

 金本監督も目を細める価値あるアーチだった。“ケンカ”を挑んだ強い浜風にも勝利。劣勢に沈む本拠地の重苦しい空気もわずかながら吹き飛ばした。先発の大瀬良に対して7回3安打無得点。打線全体が完璧に抑え込まれながらも3回には甘い直球を中前へと運んだ。

 苦戦を強いられた戦いの中でも唯一、マルチ安打を記録した。価値ある2安打。実は、その裏には恩師から授かった言葉が好結果をもたらしていた。仙台から帰阪した18日のことだ。開星高のOBを通じて渡された一枚の色紙には達筆な文字で「甘球必打」と記されていた。高校時代の監督である野々村直通氏がプロの世界で奮闘する糸原に対して送った愛情あるメッセージだった。

 「好球必打」ではなく、「甘球必打」だった。好きな球を待って打ちに行くのではなく、甘い球を待って打て!テレビの画面を通して教え子の姿を見ていた恩師だからこそ感じていたことだったのかもしれない。その授かった言葉をこの夜は打席で実践。「だいぶ、糸原らしさというのが出てきたと思う」。金本監督も本来の姿が戻りつつあることを感じていた。リーグ戦再開後も黒星発進し、引き分けを挟んで3連敗。猛虎の切り込み隊長として打席に立つ若虎が苦しむ虎に明るい光を与えた。(山本 浩之)

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2018年6月23日のニュース