【CSキーマンに聞く】西武・山川 青木流センター返しで“開眼”

[ 2017年10月13日 09:32 ]

さあCSだ!色紙に「獲」の一文字を書きガッツポーズの山川
Photo By スポニチ

 日本シリーズを懸けたクライマックスシリーズ(CS)は14日にセ・パ共に開幕する。ファーストステージに出場するキーマンを直撃する企画の第2回は西武・山川穂高内野手(25)。今季は7月に1軍昇格して打率・298、23本塁打と自己最高の成績を残した。ブレークの理由、4番で挑む初出場のCSへの思いを聞いた。 (聞き手・平尾 類)

 ――いよいよCSが始まる。楽天戦は今季、打率・347、7本塁打している。

 「楽天に勝ちたいし、ソフトバンクも倒さなければいけない。ヤフオクでやる時は強さが1ランク上がるけど、打ち合いでも絶対に勝ちたいです」

 ――今季は打撃3部門で自己最高の成績を残した。

 「1年を通して試合に出たわけではないので成績に満足はしていない。中村さんみたいに毎年30、40本塁打を打ちたいです」

 ――今季は4月下旬から2カ月以上ファーム暮らしが続いた。

 「昨季は中村さんが故障してチームもBクラスで試している部分が多かった。14本塁打だけど何もつかめていなかったんです。今季は春先に2軍で調子が悪くて打てる気もしなかった。でも、1軍で使ってもらうために打率3割はいつでも打てるとこだわった」

 ――7月に昇格すると66試合で21本塁打。9月から「4番・一塁」に定着した。

 「今まで左翼方向に放り込むイメージだったけど、1軍に上がってからバックスクリーンを狙う意識に変えた。1年目のオフに一緒に自主トレさせていただいた青木宣親さん(メッツ)の言葉を思い出したんです。“どういう意識で打っている?俺は直球待ちのセンター返しだよ”って。青木さんとタイプは違うけど、中堅は一番飛ぶ方向にある。普通に打てば中堅に飛ぶことに気づかされた」

 ――効果は?

 「直球が差されても逆方向の右に打てるようになった。広角に本塁打を打てるようになりましたね。左肩の開きも抑えられて変化球を見極められるようになった。打率が上がったし、三振ももっと減らせると思う」

 ――得点圏打率も昨季より大幅上昇した。

 「気持ちの面が大きいと思う。今までは結果は後からついてくると思っていたけど、夏に1軍に上がってから1打席、1球を無駄にしないように死んでも結果を出そうと思った。足も震えるしドキドキしますよ。でも最近はチャンスで“よっしゃ”と思えるようになった」

 ――OPSも1・081と高い。

 「重視しているのがOPSです。長距離砲として長打と出塁率が高ければそれだけチームに貢献できているということなので」

 ――8月9日に結婚した妻・麻衣子さんの支えも大きいのでは。

 「間違いなく大きいですね。妻はスポーツ(ソフトボール)を長いことやっていたのでアスリートの気持ちを分かってくれる。食事や家事を任せて一切気を使わない。寝るタイミングも違うし、シーズン中は寝室を別にしているんです。一人の時間をつくってくれる。安心して野球に打ち込める環境で感謝しています」

 ――CSで戦うイメージは。

 「不安は不思議と少ない。1年間ずっと試合に出ていたわけでないので物足りなさがある。例年この時期はフェニックス・リーグか秋季練習なので(笑い)。お客さんがたくさんいる中で試合をやれる喜びがあります」

 ▽OPSとは 「On―base Plus Slugging」の略。On―baseは出塁率、Sluggingは長打率で、両方の数字を足したものがOPSだ。安打と本塁打が同等の打率よりも得点との関連性が強くなるのが特徴で一般的に8割を超えると優秀な打者とされる。今季、規定打席に到達した打者で最高は柳田(ソ)の1.015だった。

 ≪唯一の長打率6割超え≫山川は今季242打数で23本塁打。西武で規定打席未満ながら23本塁打以上マークした日本人選手は10年中村25本以来7年ぶり。本塁打率(打数÷本塁打数)は10.52で、パで20発以上マークした打者では本塁打王になったデスパイネ(13.66)より高かった。また、長打率.661も200打席以上の打者の中ではトップで6割を超えたのは山川だけだ。

 ≪山川 穂高(やまかわ・ほたか)≫

 ☆生まれとサイズ 1991年(平3)11月23日、沖縄県生まれの25歳。1メートル76、100キロ。右投げ右打ち。

 ☆球歴 中部商2年秋からベンチ入りし4番・右翼手。高校通算27本塁打も甲子園出場はなし。富士大で1年春から4番を務め、1年秋に打点王を獲得。2年で大学日本代表に選ばれた。リーグ通算78試合出場、打率.304、11本塁打。13年ドラフト2位で西武入団。

 ☆愛称 アグー。最近は女性ピン芸人・ゆりやんレトリィバァに似ていると言われ、本塁打を打った後のパフォーマンス「調子に乗っちゃって」が決めポーズ。

続きを表示

この記事のフォト

2017年10月13日のニュース