【神奈川】横浜に怪物1年生 スカウト衝撃「オコエの1年時超えている」

[ 2016年7月18日 05:30 ]

<横浜・向の岡工>初回1死、右中間フェンス直撃の二塁打を放つ横浜・万波

第98回全国高校野球選手権神奈川大会2回戦 横浜8―0向の岡工

(7月17日 保土ケ谷)
 怪物1年生がデビュー戦でパワー全開だ。コンゴ人の父を持つ横浜高の万波中正(ちゅうせい)外野手(1年)が17日、第98回全国高校野球選手権神奈川大会2回戦、向の岡工との初戦に「7番・右翼」で出場。初回の第1打席で右中間フェンス直撃の二塁打を放つなど3打数2安打のマルチデビューを果たした。8―0で7回コールド発進。昨秋に就任した平田徹新監督(33)に夏初勝利をプレゼントした。

 何たるパワーだ。初回に5点を奪い、なお1死走者なし。万波は外角低めのスライダーに長い腕を伸ばしてバットを出した。見逃せばボール。完全に泳がされ、打った後には体勢も崩した。それでも打球は逆方向の右中間へグングン伸びた。最深部のフェンスを直撃。夏の公式戦初打席でいきなり二塁打を放ち、球場をどよめかせた。

 「泳がされたけど、しっかり振れたのがよかった」。50メートル6秒3の快足で三盗してアウトにはなったが、迫力たっぷりの走塁だった。5回にも左前打。3打数2安打のマルチデビューで勝利に貢献し「大事な初戦を勝ててよかった」と笑った。

 コンゴ出身の父・ウィリーさんと日本人の母・有里子さんの間に生まれた。「親から授かったもの」と感謝する体格は1メートル90、92キロ。身長は入学前から2センチも伸びている。東練馬シニア時代はエースとして最速138キロの直球を投げ、全国大会ベスト4。横浜高では強肩を生かして外野手となった。メンタルも強い。夏の初戦は3年生でも緊張するものだが、「緊張は全然しなかった。1週間前から楽しみだった」と胸を躍らせ、結果を出した。

 視察したソフトバンク、西武、阪神のスカウトも度肝を抜かれた。お目当ては今秋ドラフト1位候補で最速153キロの藤平。登板せずに肩透かしを食らった中で万波に熱視線を送り、ソフトバンクの小川一夫編成育成部長は「既にオコエの1年時を超えているんじゃない?」と目を丸くし「(ドラフト目玉は)来年の清宮、再来年の万波」と言った。名将・渡辺元智前監督の勇退を受けて昨秋に就任し、夏の公式戦初戦を白星で飾った平田徹監督は「思い切ってスタメンにした。力を見せてくれた」と評価した。

 00年生まれのミレニアム世代。早実の4番・野村とは友人でありライバルだ。昨年出場した中学の全国大会で連絡先を交換し、野村が2戦連発を放った14日には「おめでとう」とLINEを送った。現在、万波は高校通算3本塁打で「刺激になる。僕も夏の大会で1本は打ちたい」と話した。

 憧れは同じ右打者のマーリンズの主砲スタントン。動画を見て「無駄のない動きを参考にしている」という。プロ入りを目指して名門高の扉を叩いた16歳。「先輩たちにしっかり付いていきたい」と話す。昨夏の甲子園を制した東海大相模の連覇を止め、3年ぶりとなる夏の甲子園へ。新怪物が規格外のパワーを見せつける。 (松井 いつき)

 ▼阪神・佐野仙好統括スカウト 1年生とは思えない。右中間のあんな深くまで飛ばすとは。今後が楽しみですね。

 ≪万波 中正(まんなみ・ちゅうせい)≫

 ☆生年月日 2000年(平12)4月7日、東京都生まれの16歳。

 ☆サイズ、投打 1メートル90、92キロ。右投げ右打ち。足のサイズは30センチ。太腿回りは69センチ。

 ☆球歴 小2で野球を始める。開進第二中では東練馬シニアに所属し、3年時にエースとして全国4位に導く。横浜高では1年春の県大会からベンチ入り。

 ☆陸上部 中学では陸上部との「二刀流」で1年時に100メートルハードルで都大会2位。3年時は砲丸投げで都大会を制し、全国大会にも出場した。野球での遠投は105メートル。

 ☆好きな言葉 必勝不敗。

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