なるか甲子園優勝旗「白河越え」 回文でエール「伊達から勝て」

[ 2015年8月2日 10:10 ]

福島大会を制し、胴上げされる聖光学院・斎藤監督。甲子園でも胴上げされる日は…

 今年2月、あるメールが届いた。送り主は聖光学院野球部の斎藤智也監督。福島支局にいた昨年9月までの3年間お世話になった。「新聞読んでるよ。回文おもしろいね!」というメールだった。

 記者になる前の芸人時代に回文(上から読んでも下から読んでも同じ文)を使ったネタをしていたため、今春のプロ野球キャンプ中に12球団の回文をつくる連載をやらせてもらった。例えば、ヤクルトは「成瀬最下位させるな(なるせさいかいさせるな)」。連載の感想をわざわざ送ってくれた。「監督の回文もつくりましたよ。“疎い采配 斎藤”(うといさいはいさいとう)」と言うと、「俺が敗軍の将みたいじゃねえか」と笑っていた。

 もちろん「疎い」なんてことはなく、聖光はこの夏に戦後最長の9年連続甲子園を決めた。学校があるのは福島県北部の伊達市。田園風景の中にあるグラウンドの脇を東北新幹線が走る。球速を計るスピードガンに200キロ台の新幹線の速度が表示されることもあるとか。「余談だよ(よだんだよ)」。新幹線から練習を監視されているような気分だろうか?「新幹線監視(しんかんせんかんし)」。

 他県から集まる部員で強くなったと思われがちだが、実は主力に地元選手が多いことはあまり知られていない。これまでにプロ入りした4人のうち、兵庫出身の歳内(阪神)を除く園部(オリックス)、横山、八百板(ともに楽天)は福島で育った選手だ。

 甲子園の過去最高はベスト8。斎藤監督は今年のチームについて「体力は歴代No.1。(センバツ優勝の)敦賀気比に11―10で勝っちゃうような試合をしたい」と自信を見せる。大会歌「栄冠は君に輝く」を作曲した古関裕而氏は福島出身。優勝旗の「白河越え」を待ちわびるかのように、福島駅の発車メロディーに使われている。

 回文でエールを送るなら「行こう!来い!聖地1位聖光来い!(いこうこいせいちいちいせいこうこい)」。訳が分からない。地元の願いは伊達市から日本一!「“伊達から勝て”だ!(だてからかてだ)」。…ていうか、とにかく勝て。「てか、勝て(てかかて)」。(渡辺 剛太)

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