由伸 コーチ兼任初お手本V打!9回代打の代打で決めた

[ 2015年5月23日 05:30 ]

<中・巨>9回1死二、三塁、代打の代打・高橋由は勝ち越しとなる右前適時打を放つ

セ・リーグ 巨人4-2中日

(5月22日 ナゴヤD)
 珍しく派手に右拳を振り上げた。兼任コーチとなって初の決勝打。巨人・高橋由は一塁ベース上で、込み上げる喜びと興奮を抑えきれなかった。

 「とにかく三塁走者をどんな形でもいいから還したかった。当たりは良くなかったけど、走者を還せてホッとしました」

 2―2の9回1死一、三塁。ポレダの代打で矢野が告げられると、中日は左腕・高橋聡に代えて右腕・田島を投入。ここで原監督も動き、代打の代打で高橋由を送った。寺内が二盗を決めて1死二、三塁。5球目の148キロ直球を振り抜き、一、二塁間を破った。

 「そんなに簡単に打てるとは思っていない。振り負けないように打席に立って、良い場面で打てて良かった」。昨季は代打で球団2位タイの17打点と勝負強さを発揮した。だが、今季は開幕から不振で試合前まで打率・214。脱却するために大きな決断を下した。試合前のティー打撃。数日前からボールをわずかに投手寄りに上げてもらうように変え、ミートポイントを前にずらした。

 「微調整だよ、微調整。打てないんだから何かしないと」。その幅は約30センチ。差し込まれる場面が多かったため、ヘッドを走らせる感覚をつかみ、そのまま打撃ケージへと向かうようにした。入団時に完成していた打撃の美しさから「天才打者」と称され、オフでも練習法をめったに変えなかったプロ18年目の40歳は、それほど必死だった。

 選手として苦しみながらも、兼任コーチとしての役割を果たす。5月上旬の広島遠征。同じく打撃不振だった村田と、DeNA時代に自らの打撃を参考にしていたという1学年下の金城を食事に誘った。「世間話ばかりだよ」と言うが、村田にはベンチから見た目線で助言を送り、金城の話も親身に聞いた。グラウンドでは選手としての時間を最大限に使いながら、練習の合間やグラウンド外では二足のわらじを意識して貢献している。

 3月31日から4月2日に3連敗を喫したナゴヤドームで逆転勝ちを収めた。「きょうはもう終わったことなので切り替えて、また勝てるように頑張ります」と高橋由。代打の切り札として君臨する40歳の集中力と勝負強さは健在だった。

 ▼巨人・寺内(今季2度目のスタメンで2安打2得点2盗塁)とにかく必死。結果につながってよかった。

 ▼巨人・長野(3回に吉見から中前適時打)いい投手だし甘い球は簡単には来ないと思って打席に入った。ワンスイングでしっかり仕留められた。

 ▼巨人・坂本(6回に左前適時打)走者を還す打撃を意識していた。(内角シュートに)コンパクトにバットを出せた。

 ≪代打の代打≫高橋由(巨)が代打・矢野の代打で決勝適時打。巨人で代打の代打が決勝打は、12年5月17日オリックス戦で石井の代打・加治前が中犠飛を放って以来。適時安打に限ると、07年5月31日ソフトバンク戦で清水の代打・矢野が逆転満塁本塁打して以来8年ぶり。

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