阪神 掛布DC、鳥谷流出を“歓迎”「若手にとってはチャンス」

[ 2014年11月17日 07:40 ]

<巨・神OB戦>4回1死、掛布氏はマウンドの江川氏(右)に歩み寄り声を掛ける

 阪神・掛布雅之GM付育成&打撃コーディネーター(DC=59)が16日、海外フリーエージェント(FA)権を行使した鳥谷敬内野手(33)について言及。万が一、流出となれば球団にとっては痛手も、若手選手にとっては定位置奪取の絶好機であることを強調し、若トラの台頭を願った。

 成功体験を持つ掛布DCだからこそ、言葉には確かな説得力があった。海外FA権を行使し、メジャー移籍が有力となっている鳥谷。来季、生え抜きのリーダーが不在となれば、和田阪神はチーム作りの変更を余儀なくされる。掛布DCも残留を願うが、その一方で、指導者の立場としては悲観してばかりもいられない。発想の転換で、若手選手にとっては好機の訪れであると力説した。

 「鳥谷がいないとなれば、大和が守りのスペシャリストになることもある。若手にとってはチャンスですよね。(大和が遊撃に配置転換されれば)隼太、狩野らも結果を残したし若い芽が出てくる1年になるかもしれない」

 チーム編成にとっては大きな痛手でも、若手1人1人にとって、これ以上のチャンスはない。不動だった「ショート」のポジションが空く―。仮にセンターから大和が回れば、外野の1枠が空白となる。掛布DCの若トラの背中を押すような発言は、どこかで自身の現役時代を重ね合わせたのかもしれない。

 1973年ドラフト6位で習志野高(千葉)から阪神に入団。中央球界では無名に近いキャリアからのスタートだったが、不断の努力でレギュラーを勝ち取り、最後は「ミスタータイガース」と呼ばれる存在まで上り詰めた。ポジションとは与えられるものではなく、つかみ取るもの。厳しい競争社会を生き抜いた自らの体験は、1軍半、あるいは2軍でくすぶる選手たちにも通じるという信念がある。

 17日にも南信男社長(59)が直接出馬し、この日までに帰国した鳥谷との残留交渉にあたると見られる。フロントとしては今後も全力で慰留を続けるが、FA権は選手が勝ち取った権利。掛布DCは最後にこう結んだ。

 「彼が決断をした時には球団もその気持ちを汲(く)んで、手を叩いて(拍手して)送り出さなければいけない」

 鳥谷の穴埋めをできる選手は、現状では皆無と言っていい。ただ、そこから始まる競争は長い目で見れば、猛虎に大きなプラスアルファをもたらす可能性もある。掛布DCのポジティブな思考回路は同時に、若手選手へのエールでもあった。

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2014年11月17日のニュース