侍小久保監督 “右の大砲”ヤクルト山田を17年WBC強化指定に

[ 2014年10月10日 05:30 ]

ヤクルトの山田

侍ジャパン全28選手発表

(10月9日)
 11月に開催される「2014 SUZUKI 日米野球」に出場する侍ジャパン全28選手(1次選考選手6人を含む)が9日、発表された。今季日本人右打者のシーズン最多安打記録を塗り替えたヤクルト・山田哲人内野手(22)が初の日本代表入り。小久保裕紀監督(43)は17年開催予定のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向け、山田を「強化指定選手」に挙げた。また巨人の小林誠司捕手(25)が新人では唯一選出され、平均25・7歳の若い編成となった。

 小久保監督は今回のメンバー選考について「(17年予定の)WBCに向けて、ベテランよりも若い年齢層、経験を積ませたい選手を選んだ。初めて日本代表を背負う選手は経験をしっかりと自分のものにしてほしい」と話した。その上で、野手最年少の22歳で初めて日の丸を背負う山田に「大リーグ相手にどこまで通用するのか、肌で感じてほしい」と期待した。

 山田はプロ4年目の今季、二塁に定着して打率・324、29本塁打。通算193安打を放ち、50年に藤村富美男(阪神)が樹立した191安打の日本人右打者のシーズン最多安打記録を64年ぶりに塗り替えた。前年は打率・283、3本塁打。突然のブレークで指揮官が注目したのは安打製造機ぶりではなく、長距離砲としての素質だった。

 「(前年に)2割8分くらいの選手が3割2、3分を打つことはある。でも(今季の山田は)ホームラン29本と長打力が開花した」。メジャーリーガーのパワーに対抗できる右打者を聞かれ、小久保監督は4番に据える中田の名前を口にしたが「実際に一番ホームランを打っているのは山田」と続けた。

 29本は中田の27本を上回る。9月中旬には解説で横浜スタジアムを訪れた小久保監督が山田に「本塁打が(前年の)3本から23本(当時)になることは難しい。何を変えたんだ」と尋ねたこともあった。その頃から抜てきは頭にあった。

 山田も「日本代表は子供の頃からの夢だったので本当にうれしい。代表としての重圧を感じながらプレーしたい。一本でも多くのヒットを打ち、試合に勝てるように頑張りたい」と目を輝かせた。必要なのは経験。小久保監督自身、プロ3年目で出場した96年の日米野球を「野球人生で凄くプラスになった」と振り返る。自らも右の大砲だった指揮官は、山田に後継者の役目も託したのだ。

 もちろん、手放しでレギュラーを与えるつもりはない。二塁には菊池、遊撃には坂本らがいる。指揮官は複数のポジションで競わせる意向だ。それを勝ち抜いてこそ、山田が侍ジャパンの主軸に成長する。

 ◆山田 哲人(やまだ・てつと)1992年(平4)7月16日、兵庫県生まれの22歳。履正社時代は「T―山田」の愛称で知られ、3年夏の甲子園で3回戦進出。高校通算31本塁打。10年のドラフト1位でヤクルトに入団。12年4月5日の阪神戦(神宮)で初出場を果たし、プロ初安打を放った。昨季は94試合で打率.283、3本塁打、26打点。1メートル80、76キロ。右投げ右打ち。

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