逆襲のT―岡田 14年プロ野球1号 12球団最速紅白戦で復活兆し

[ 2014年2月4日 05:30 ]

紅白戦の4回、森脇監督(左後方)が見守る中、右越えに本塁打を放つT―岡田

紅白戦 紅組2―11白組

(2月3日 宮古島)
 2014年、プロ野球第1号はこの男だ。オリックスのT―岡田外野手(25)が3日、沖縄・宮古島キャンプで行われた12球団最速の紅白戦で4回に右越えソロを放った。紅組の「5番・一塁」で出場し、3打数3安打1打点。二塁打2本を含め、3安打全てが長打だった。10年に本塁打王を獲得後、成績は下降線をたどり、昨季はわずか4本塁打。和製大砲が球春到来を告げる一発で復活の兆しを見せた。

 2年目右腕・戸田の投じた初球は、外角に逃げていくツーシーム。簡単に打てる球ではない。それでも、T―岡田は打ちにいった。手元まで引き付け、フルスイング。打球は大きな放物線を描き、右翼席で弾んだ。

 「タイミングが少しずれたが下半身で粘れた。今までなら当てにいって内野ゴロだったかもしれない。取り組んできたことが間違いではなかった」。キャンプインから2日連続で居残り特打を行い、連日1000スイングを超えた。すり足打法は昨年と変わらないが、足の幅を広くした。下半身への意識を高めるためだ。だから外の変化球にも泳がされなかった。2回に東野から右中間二塁打、6回にも榊原から右翼線二塁打を放った。

 10年に33発を放ち、本塁打王を獲得したが、その後の成績は下降線をたどった。昨季は不振に故障も重なり、58試合で4本塁打。今季、レギュラーの保証はなくなった。「これから先の野球人生がかかる一年」。このオフは左膝痛など下半身の故障再発を防ぐため、減量に取り組んだ。サウナスーツを着込み、連日10キロ走った。食生活も野菜中心。大好きなカフェオレもやめ、飲み物は水と牛乳だけにした。オフの2カ月間で104キロだった体重を98キロまで絞り込み、5年ぶりとなる90キロ台でキャンプインした。

 12球団最速の紅白戦。「勝ち残った人だけが開幕から試合に出る」とサバイバルを打ち出した森脇監督の方針からだ。指揮官は伸び悩む和製大砲を心機一転させるため、登録名変更を勧めていたが「T―岡田」としての一発回答に「打席で気合を感じた」と目を細めた。紅白戦前には視察した侍ジャパンの小久保監督から「いま一度、タイトルに向かってほしい」とエールを送られていた。

 昨季のチーム得点はリーグ最低の513。しかも、そろって91打点の李大浩(ソフトバンク)とバルディリス(DeNA)が抜けた。課題は中軸の確立。ペーニャ(前ソフトバンク)とメジャー通算80本塁打のベタンコートが加入したとはいえ、T―岡田の復活は不可欠だ。「これを続けていって1年間通してチームの力になれるように」。若き主砲は試合後も黙々とバットを振り続けた。

続きを表示

この記事のフォト

2014年2月4日のニュース