国指定難病から復帰のソフトB・大隣 16日秋季練習から1軍合流

[ 2013年10月9日 06:00 ]

打撃投手を務める大隣

 6月に受けた国指定の難病・黄色靱帯(じんたい)骨化症の除去手術から復帰を目指すソフトバンク・大隣憲司投手(28)が8日、西戸崎室内室内練習場で術後2度目のフリー打撃に登板。過去に完全復帰の例がない病気だが、早期発見で経過は順調。16日からの秋季練習(ヤフオクドーム)で1軍に合流し、20日前後のフェニックス・リーグ(宮崎)で実戦登板する可能性が高まった。5年ぶりのBクラスの要因となった先発陣の不振。昨季12勝左腕の朗報は来季への希望の光となる。

 乾いたミット音。室内練習場の環境を割り引いたとしても、復活の足音を確信できるものだった。ブルペンで61球投げた後、マウンドに上がった。相手は3軍。ただ、球の勢いは風を切る音を聞けば十分だ。5日以来2度目となる31球の打撃投手を終えた大隣は、満足げな笑みを浮かべた。

 「最初は今年中には1回、投げておきたいと思っていたけど、順調すぎるほど、順調ですね」

 6月21日に手術した国指定の難病は過去、球界で完全復帰した例はない。術後、背中には10センチ程度の傷跡が残った。投手の生命線と言える背中にメスを入れた。だが、9月末に受けた3カ月検診では「筋力的にも問題はない。このまま投げていいと言われた」という。背番号28は選手生命さえ危ぶまれたどん底から、はい上がってきた。「CS(ファイナルS)、日本シリーズまで進んだら先発させるスケジュールは組んでいた」と斉藤学リハビリ担当兼ファーム巡回コーチ。短期決戦へ投入できると思わせる回復ぶりだ。今後は16日からの秋季練習で首脳陣のGOサインが出れば宮崎へ飛び、20日前後にフェニックス・リーグで1イニングずつだが、数試合登板し、実戦復帰する。

 来季に向けて明るい話題だ。昨季12勝した大隣を筆頭に先発は想定外の故障や不調が続出した。2桁勝利は15勝したエース摂津のみで続くは7勝の帆足。「(V逸の原因は)一番は先発。リリーフ防御率はよかった」という秋山監督は全日程終了の翌6日、摂津に次ぐ来季先発2番手候補に終盤3連勝のルーキー東浜の名を挙げた。先発はそれほど窮状だった。

 明るく語った後、大隣は表情を引き締めていた。「(左足の)しびれはまだあります。ただ、これは時間がたたないと戻らない」。完治への道のりはまだ遠い。ただ、摂津1人しか埋まっていなかった来季のローテーションの枠に一人、実績十分の左腕が加わった。

続きを表示

2013年10月9日のニュース