新ポスティング案浮上 マー君メジャー3球団から選べる

[ 2013年9月17日 06:00 ]

金刃(左)、星コーチの動きを笑顔で見つめる田中

 ポスティング・システム(入札制度)の新制度が11月から導入される可能性があることが15日(日本時間16日)、分かった。米紙によると、入札額の上位3球団から選手が交渉球団を選べる案が有力だという。現在は「日米間選手契約に関する協定」が失効しており、新制度策定へ日米が協議中。実現すれば、選手の球団選択の幅が広がるなど利点は多い。今オフにもメジャー移籍の可能性がある楽天・田中将大投手(24)らにも朗報だ。

 ニューヨークの地元ニューズデー紙が、関係者の話として報じた大リーグ側の改革案は「(議題に挙がっている一つの提案として)入札額の上位3球団から選手が希望する1球団と交渉できる」というものだった。早ければ11月から採用され、「楽天の田中がその恩恵を受けることになりそうだ。従来のものよりも選手に有利とみられている」としている。

 昨年までは入札最高額を投じた1球団に独占交渉権が与えられた。しかも日本の所属球団がその金額を受諾するまで球団名すら明かされなかった。ところが、改革案ならばシーズン終了後に入札制度の利用を所属球団に了承されれば、申請後は選手の意思が大きく反映される。3球団とはいえ、日本人選手の受け入れ態勢、本拠地の住環境などを総合的に判断した上で、交渉に入ることができる。

 条件交渉も有利に働く。06年オフの松坂大輔(現メッツ)、11年オフのダルビッシュ(レンジャーズ)は約5000万ドル(約50億円)の法外な入札額の後、年俸など契約への投資が抑制される傾向にあった。しかし、3球団からの選択であれば、資金力のある球団を見定めることも可能だ。

 大リーグ側にもメリットはある。選手に興味のない球団による妨害目的の入札を避けられる。法外な入札額を理由に参加できなかった球団も、獲得に乗り出しやすい環境となる。松坂やダルビッシュの入札に参加した球団は5球団前後だったが、新制度が導入されれば、10球団以上の参加が見込まれる。

 一方で問題もある。大リーグ関係者は「ヤンキース、レッドソックスや、ドジャースなど西海岸の球団に有利に働く」と一部球団に偏る可能性を指摘する。さらに選手自身が交渉球団を逆指名できることから、日本の所属球団は高額入札した球団があっても、低い落札額を受け入れなければならない危険性も抱える。

 今オフにもメジャー移籍の可能性がある田中についてスカウトは登板ごとに視察している。ア・リーグのスカウトは「ヤンキース、レンジャーズ、ドジャースは熱心だが、ほぼ30球団が調査を行っている」と話す。

 昨年、大リーグ機構(MLB)が同システムを含む「日米間選手契約に関する協定」を破棄。現在は新制度導入へ、日米間で協議を進めている。ニューズデー紙は大リーグ機構、キム・アング副社長の「NPB(日本野球機構)とは長い間、話し合いを行っている。今後もさまざまなシナリオを考えながら協議していく」とのコメントを紹介した。早急な決着が迫られている。

 ▽ポスティング・システム(入札制度) 日本の所属球団が大リーグ挑戦を容認すれば、海外フリーエージェント(FA)権を持たない選手でも移籍が可能となる制度。大リーグ機構から公示された日本選手に対し、大リーグの獲得希望球団が入札。最高入札額を日本の所属球団が受諾すれば30日間の独占交渉権が発生する。1997年オフに伊良部秀輝(当時ロッテ)が強引にヤンキースと契約した経緯から、日本選手獲得の機会均等を求めた大リーグ機構側の要望もあって日米間選手契約に関する協定で定められた。だが、入札額1位(落札球団)と2位の金額に開きがあるケースが多発。落札球団には高い金額を払い過ぎたという意識があり、制度の見直しを求める声が出た。

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2013年9月17日のニュース