ノーヒッター3度の外木場氏 バネとなった記者の一言

[ 2013年1月12日 06:00 ]

野球体育博物館・加藤理事長から殿堂入り通知書を受ける外木場氏(左)

野球殿堂入り発表

 元広島・外木場氏は感無量の面持ちで晴れの舞台に立った。「僕の年齢では難しいと思った。信じられない。本当にうれしい」。67歳での殿堂選出。エキスパート表彰で当選ラインちょうどの29票を集めた。沢村栄治(巨人)と並ぶ歴代最多3度のノーヒットノーラン(完全試合1試合を含む)は、何げない記者の言葉がバネとなった。

 プロ2度目の先発だった65年10月2日の阪神戦(甲子園)でノーヒットノーランを達成したが、試合後の取材中に「こういう記録を残すと短命だけど」と声をかけられた。外木場氏は「それならもう一回やってやろう」と反骨心に変えた。

 弱小球団だった広島に65年入団。「まさか優勝できるとは思わなかった」という75年シーズンは20勝を挙げ、球団初優勝の原動力となった。「直球とカーブ。2つだけの球種にすべてをかけた」という野球人生。現在は広島市内で3つの中学生チームを指導している。外木場氏は「初優勝が一番の宝物だったが、この賞が一番になった。子供たちにもいい報告ができる」と目を潤ませた。

 ◆外木場 義郎(そとこば・よしろう)1945年(昭20)6月1日、鹿児島県生まれの67歳。出水から電電九州を経て、65年広島入団。75年に20勝を挙げて最多勝、沢村賞に輝き、広島のセ・リーグ初優勝に大きく貢献。完全試合を含めノーヒットノーランを3度達成した。引退後は広島、オリックスのコーチを歴任。右投げ右打ち。

 ▼広島・松田元オーナー (広島から)2年続けて2人選ばれたのは非常に光栄なこと。外木場さんは初優勝のときに凄く頑張っていただいたし、その後肩を壊して苦しんだ姿を見ている分、凄くうれしい。大野さんは成績も人間としても立派な人。軟式出身でここまで上がってきて、良かったなと思う。

 ▼広島・野村監督 大野さんとは選手、指導者時代を通し身近に接してきたので、より大きな喜びを感じています。私も含めカープの選手一同、偉大な先輩方に負けないように、より一層精進していきます。

 ▼佐々岡真司氏(広島OB、本紙評論家)外木場さんはコーチ時代も含め、さまざまなことを教えていただき、大野さんは郷土の先輩で目標にしてきた人でした。大野さんがコーチをされた99年に15勝を挙げ、ノーヒットノーランも達成できた。“頑張ってくれて助かった”と言われたことが今でも思い出です。

 ▼達川光男氏(広島OB)中学生の時に外木場さんの完全試合をネット裏で見て、プロ野球への憧れが強くなった。大野は人への気遣いができる男。達川の悪口はよく聞くが、大野の悪口は聞いたことがない。

 ▼広島・前田健 外木場さんといい、大野さんといい、歴代のカープのエースの方々がつくられた記録を超えられるように、自分も名前を残せるように頑張っていきたいと思います。

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2013年1月12日のニュース