「かあちゃん、ありがとう!」中畑監督別れの絶叫

[ 2012年12月11日 06:00 ]

涙をこらえながら喪主のあいさつをするDeNA・中畑監督

中畑仁美さん葬儀・告別式

 5日に子宮頸(けい)がんのため59歳で死去したDeNA・中畑清監督(58)の妻・仁美さんの葬儀・告別式が10日、東京都港区の青山葬儀所で営まれた。球界関係者ら約1800人が参列。焼香を終えた参列者一人一人と握手を交わした中畑監督は、最後は号泣しながらあいさつし、天国に旅立った最愛の妻に「かあちゃん、ありがとう!」と絶叫した。

 嗚咽(おえつ)だけが漏れ、言葉が出てこない。喪主としてのあいさつに立った中畑監督は、15秒間の沈黙後に途切れ途切れながら声を絞り出した。

 「私の大事な、本当に大事な、かあちゃん、仁美のためにご参列いただきまして、ありがとうございました」。涙が止まらない。頭を下げ、さらに2度繰り返した「ありがとうございました」は、もう言葉になっていなかった。

 脳裏に浮かんだのは苦しかった闘病生活、そして楽しかった思い出。震える声で続けた。「中畑仁美という女房と一緒になれたことを誇りに思い、野球人の中畑が大好きだったかあちゃんに来年は“とうちゃん頑張ったね!”と言ってもらえるように、命懸けで頑張ってまいります」。来季の目標に定めるCS進出をあらためて宣言。最後に「かあちゃん!仁美!!ありがとう!!!」と絶叫した。

 中畑監督が仁美さんと共演した大分県の調味料メーカー、フンドーキン醤油(しょうゆ)のCM「愛する人へ」の映像が繰り返し流され涙を誘った会場には、DeNA、巨人を中心とした球界関係者ら約1800人が参列。愛弟子・松井秀喜(前レイズ)ら約500人から供花が届き、弔電もソフトバンク・王貞治球団会長らから500通以上が届けられた。

 告別式では焼香を終えた参列者ほぼ全員と握手するなど、気遣いの人らしく気丈に振る舞った。だが、火葬場から戻るともう限界だった。「きょうは勘弁して」。どんな時も報道陣に対応してきた中畑監督が、この日ばかりは取材を拒んだ。「2人にさせてよ。悪いな」。位牌(いはい)に頬を寄せ、そう話すと、2人が長年過ごした自宅に戻った。

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