マー君 10K完投で4勝目!福島に白星プレゼント

[ 2012年6月23日 06:00 ]

<楽・ロ>9回表1死から粘る清田を三振に取り吠える田中

パ・リーグ 楽天3-2ロッテ

(6月22日 郡山)
 プロ野球は22日、セ、パのリーグ戦を再開し、楽天・田中将大投手(23)が首位・ロッテ戦に先発。10安打を浴びながらも2失点で踏ん張って127球、10奪三振で完投し、4勝目を挙げた。昨年は東日本大震災の影響で福島での主催試合はKスタ宮城に代替されただけに、福島のファンに1年遅れで白星をプレゼント。また、規定投球回に達し、奪三振は65でリーグ3位ながら、奪三振率8・86は堂々のリーグトップだ。
【試合結果】

 この一球を待っていた。「心」と「体」が合致した。1点リードの7回2死二、三塁。一打逆転の危機で、田中が投じた152キロの直球は、火を噴くような勢いで井口の内角をえぐった。空振り三振。これまでの鬱憤(うっぷん)を吐き出すように、夜空に向かって雄叫びを上げた。

 「リーグ戦が再開したので、何とか勝ちにつながるような投球をしたい、とマウンドに上がった。ようやくピンチでもしっかり腕を振って投げることができた」

 10安打を浴び、毎回のように走者を出しながら要所で粘った。左翼方向への強風で2本塁打を許したが、7回以降は、右打者の外角、左打者の内角を攻めて左翼への飛球はゼロ。今季3度目の完投勝利につなげた。

 迷路に入り込んでいた。5月下旬に腰痛から約1カ月ぶりに1軍に戻ったが、本来の球威が戻らない。復帰3戦目となった前回登板の13日ヤクルト戦(Kスタ宮城)も自己ワーストタイの13被安打。得点圏に走者を背負った場面で力むと直球がシュート回転する。試行錯誤を繰り返す日々。「前日のキャッチボール中につかむものがあって、(きょうの)試合前にもイメージできた」と明かした。

 これまで過度にリリース時に右肘が下がらないように意識してきたことで、投球時の重心が上がっていた。そこで重心を落とし体重の乗った球を投げ込む意識を確認。その一環としてワインドアップ時のグラブの位置を前回登板より低くすると、テークバックも体重移動もスムーズになった。これで、直球のシュート回転は解消。球威も取り戻し、この日は10三振を奪った。規定投球回にも再到達し、奪三振率8・86はリーグトップに躍り出た。

 勝たなければならない理由もあった。昨年、楽天は5月10日(対日本ハム戦)を福島・郡山で主催試合を行う予定だったが、東日本大震災が発生。当時は開成山野球場が災害復旧本部ならびに避難所として利用されており、代替球場としてKスタ宮城に変更された。福島は地震の被害だけでなく原発事故による農作物の風評被害にもいまだ苦しんでいる。

 「数少ない機会。こうして勝ちを届けられてよかった」。お立ち台でそう話してスタンドから大歓声を浴びた田中。まだ完全復活とはいえないが、確実に復調の気配はある。福島のファンへ届けた白星は、自分への励みにもなる1勝だった。

 ≪奪三振率は8・86でトップに≫田中(楽)が10安打されながら10三振を奪い完投で4勝目。2桁被安打で完投勝利は10年5月30日広島戦(12安打)、同年8月22日ソフトバンク戦(10安打=完封)に次いで3度目だが、被安打、奪三振とも2桁で完投勝利はプロ入り初めてだ。これで5月10日以来の規定投球回に到達。66回を投げ65奪三振で9イニング換算の奪三振率は8・86。奪三振数は岸(西)68個、摂津(ソ)66個に次いでリーグ3位に浮上し、奪三振率は岸の7・14を上回りトップに立った。田中が規定投球回に達して奪三振率1位は入団1年目に9・47でマークした1度だけ。今季1位なら5年ぶり2度目になるがどうか。

 ▼楽天・佐藤投手コーチ(田中の投球について)ストライクを取りにいく球を打たれているのが気になるけど、勝ちがついてくれてよかった。

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2012年6月23日のニュース